第9話 イタリア遠征
文字数 1,390文字
・ジュールダン(北部軍)
と
モロー(中央軍)
は、ライン川流域を通ってウィーン北部へ進軍、
ボナパルト(南部軍)は、南のイタリア方面から、
ウィーンを目指すんだ!
ナポレオンに与えられた軍は4万弱。
対するイタリア方面の、オーストリアと同盟軍は、合せて6万だった。
諸君にあるのは、勇気だけだ! だが、勇気だけでは、成功はできない。
だから、この私が、諸君を豊かな大地に導こう。
イタリアだ!
諸君はそこで、名誉と栄光と富を見出すだろう!
イタリアにおける、フランス軍の活躍は目覚ましかった。
若き司令官、ナポレオン・ボナパルトの元、次々とオーストリア・同盟軍を打ち破っていった。
戦争大臣カルノーの思惑より、ナポレオンは早く、イタリア(のピエモンテ・オーストリア勢。オーストリア軍のイタリア中心部はミラノ)を平らげた。
北からやってくる、北部軍と中央軍を待つ間*に、ナポレオン軍は、イタリア中央部を襲撃した。パルマ、モデナ、トスカーナを攻略し、さらに、教皇領の一部を占領、フランスの傀儡国家である「姉妹共和国(チザルピーナ共和国)」に割譲させた。
*ライン川の下流と上流をそれぞれ渡河してやってきた両軍は、カルノーの挟み撃ち作戦を遂行することはなかった。詳細は、この後の「ライン防衛」参照
イタリアには美女がいっぱいいる。
この美女の大攻撃に背を向けて逃げ回っているのは、ボナパルトただ一人だ!※
覚えているかい、私が君の靴や、服をぬがせて、君をそっくり私の心臓の中にはいりこませたあの夢を?※※
あなたの胸に口づけを。もう少し下の方に、さらにもっと下の方に口づけを贈る!※
いいかね。来るんだよ。きっと、きっと、来るんだよ?
近く、君をこの腕に抱きしめて、赤道直下のような燃える接吻を浴びせることができる※※かと思うと……。
さあ、翼をはばたかせて、早く来なさい。早く!※
パリ……。
イタリアへなんて、行きたくないわ。
ボナパルト家の姑や妹たちも来るのだろうし。
どちらかというと、私は、あの人達に憎まれているのだわ。
え? 返事を書け? めんどくさいなあ……。
引用
※ 恋するジョゼフィーヌ―ナポレオンとの愛 ジャック・ジャンサン[瀧川好庸] 中央公論社※※ ナポレオン言行録 オクターヴ・オブリ偏[大塚幸男] 岩波書店