第56話 戴冠式

文字数 1,693文字

[カロリーヌ]


いやよ。なんで私が、ジョゼフィーヌのドレスの裾を持たなくちゃならないのよっ!



*ナポレオンの一番下の妹。ミュラの妻

 ブログ「ナポレオンの妹たち3」

[ポーリーヌ]


私だっていやよ!



*真ん中の妹。ナポレオンの勧めでイタリア貴族ボルゲーゼの妻となるも、夫婦仲が悪い。51話「アメリカとインドへの野望」参照。

 ブログ「ナポレオンの妹たち2」

[エリザ]


だいたいね。私達の子どもには、皇位継承権がない、ってのがね! ジョゼフィーヌの子ども達**にはあるのに。



*ナポレオンの一番上の妹。コルシカの役人と結婚。17話「モンテベッロでの憩い」参照。

 ブログ「ナポレオンの妹たち1」

**ウジェーヌとオルタンス

 ブログ「ウジェーヌ」

 ブログ「オルタンス


(突然現れる)


それは、ウジェーヌとオルタンスは、俺の子だからだ!



*ジョゼフィーヌの連れ子2人を、ナポレオンは養子にしている

(ぎくっ)

(ぎくっ)
(ぎくっ)
(いらっ)


だいたい、お前たちは、俺に感謝こそすれ、文句を言う資格なんてないぞ。フランス皇帝の地位は、俺が一代で築いたものだ。父祖の財産を横領したわけではないんだからな。

ぶうぶう。
ぶうぶう。
ぶうぶう。
うるさいっ!(一喝)


それから、カロリーヌ。「ジョゼフィーヌ」ではない。「お義姉様」と呼べ。戴冠したら、彼女は皇后なんだぞ。

ふあーーーーい。
まったく、どいつもこいつも……。

あれ? 母さんは?

まだ、帰ってないわよ。イタリアから。



*弟のリュシアンを戴冠式に呼ぶ為、ローマへ行っている。結局、母レティツィアはリュシアンの説得に失敗、ナポレオンとの亀裂は埋まらなかった。53話「弟たちの勝手1」参照

なんてこった。

皇太后として、戴冠する俺のそばにいてもらいたかったのに……。




1804年12月2日。

ナポレオンの戴冠式及びその聖別が行われた。

ナポレオンは、自分の手で冠を被り、ジョゼフィーヌに被せた。



※ジャック=ルイ・ダヴィッドによって書かれたこの絵には、画家の心づくしかナポレオンの要望か、皇太后レティツィアの姿も描かれている(中央奥、真ん中辺の高さで座っている女性)。また、ジョゼフィーヌも、実年齢より若く描かれている


[カドゥーダル 処刑前に布告を聞き]*


私はパリに国王を与えに来たのに、皇帝を与えてしまった**



48話「地獄の仕掛け事件2」参照

**『反ナポレオン考』両角良彦

[とある軍人]


神父の支配に再び屈し、この「宗教的仮装行列」に参列するために、軍は戦闘をかくも行ってきたのか……**



*フランス革命は、宗教よりも合理精神を重んじた。また、かつて僧侶は第一身分とされていたが、革命は、身分制を打破するものであった。

**「ナポレオン年代記」J.P.ベルト[瓜生洋一・新倉修・長谷川光一・松蔦明男・横山健一]

[庶民の女性]


以前は特権身分によってたつ王様をもっていたけれど、今私たちは庶民によってたつ王様を持っています。



*引用同上

[ベートーヴェン]


やつもまた、俗物に過ぎなかったか!

(楽譜の表紙に書かれていたナポレオンの名を、ペンでぐちゃぐちゃに消してしまう)



39話「和平・コンコルダート」参照




ナポレオンが第一執政になったのは、ブリュメールのクーデターによってです。この後、クーデターの首謀者だったシエイシスらを閑職に追いやり、さらに第二・第三執政にイエスマンを置き、政治を牛耳ります33話「ブリュメールのクーデター」参照)



終身第一執政(統領)になった際は、人民投票が行われました(賛成356万8885票、反対8374票)。



皇帝推挙は、護民院で可決された後、元老院で帝政樹立の議決がなされました。護民院では、後継者は彼の家族から選ぶというキュレ(Jean-François Curée)の動議も採択されます。

元老院の議決は、ナポレオンの受諾を得て、人民投票にかけられます(賛成357万票、反対2700票)。

「皇帝(empereur)」を名乗ったのは、元老院の決議によります。ブルボン家など、それまでの支配者と同じ「王(roi)」を名乗るのでは、革命の成果が否定されてしまうという理由でした。
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登場人物紹介

オーストリア皇帝フランツ


神聖ローマ帝国最後の皇帝でもある。

くそまじめで、四角四面な性格。

ロシア皇帝アレクサンドル1世


父パーヴェルの暗殺に関与または黙認し、即位した。

欧州の平和は自分が守る、と、固く心に誓う「騎士」。

フランス皇帝ナポレオン


あ、最後になっちゃった……。

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