第4話 トゥーロン包囲戦

文字数 1,526文字

国民公会の代表者、サリチェッティが、ボナパルト兄弟に、職を紹介してくれた。彼は、兄弟と同じ、コルシカ島出身だった。


サリチェティは、長兄ジョゼフと三男リュシアンを、事務員等に取り立ててくれた。



ブログ「ボナパルト兄弟 その初期」

[長男ジョゼフ]



やった! クラリー家のお嬢さんと結婚するぞ! クラリー家はお金持ちだ。絹貿易で富を築いたからな! さすが、マルセイユだ!



ブログ「ジョゼフ・ボナパルト 1」~

[ボナパルト家の母レティシア]


おめでとう、ジョゼフ。ジュリーはいい娘さんだよ。



ブログ「レティツィア・ボナパルト 1」~

ほら! 母さんも喜んでくれてる!

ナポレオン、ジュリーの妹は美人だぞ。彼女とつきあってみないか?

[ナポレオン]


んーーーー。確かに美人だ。ちょっとつきあってみようかなあ……。

[クラリー家の兄弟]


一家にボナパルトは一人でたくさんだ!

(ぶつぶつ)

[ナポレオンの弟・三男リュシアン]


俺は、仕事の傍ら、地元の革命委員会の議長になった。俺の弁舌は素晴らしいんだぜ。

あ、母さん、俺も結婚したよ。



ブログ「リュシアン・ボナパルト 1」~

事後報告かい!?

で、誰と?

クリスティーヌ・ボワイエ。下宿のおかみの娘さ! 

俺、ロベスピエールみたいだろ? 革命と恋、かくあるべき、さ!!



※ロベスピエールは、下宿先の長女エレオノール・デュプレと恋仲だった

その娘は、自分の名前も書けないというじゃないか!

俺は反対だぞ!

なんでナポレオン兄さんが! 長男でさえないのに!

私も反対だよ、ジェローム……。

母さんまで!(むっ)


この頃、南部の軍港、トゥーロンの砲撃士官のポストに空きが出た。前任者が負傷したためである。


トゥーロンは、ヴァンデ地方(第二話参照)やボルドーと並び、王党派の勢力の強い強い町だった。ここにさらに、イギリス・スペインが結びつき、町を占拠していた。



要塞都市でもあるこの町を、フランス革命政府は、奪還する必要があった。

負傷した砲兵隊長の後任者を、早急に見つけなければならなかった。



が、フランスの軍隊の将校の大半は、貴族だった。彼らは、国外へ亡命するか、王党派として敵に回っている。


ここで、コルシカの同郷人サリチェッティは、ボナパルト家の次男のことを思い出した。



人手不足の折、勤務状態を疑われ(引っ切り無しに故郷コルシカへ帰っていたので欠勤が多かった)、軍を追われていたナポレオンは、1973年、軍に復帰を許された。功績は全くなかったが、大尉になっていた。



国民公会の代表者だったサリチェッティは、同僚のオーギュスタン(ロベスピエールの弟)に提案し、ボナパルト家の次男ナポレオンを、トゥーロン包囲作戦の、砲兵士隊指揮官に任命した。


地理だ!

考えるべきは、地の利だ!

イギリス、スペインの補給路は、どこからだ?

海だ!


砲撃すべきは、北の山にある要塞ではない!

海辺の要塞だ!

上官の無理解等、紆余曲折はあったが、結果として、彼は正しかった。

フランス側は、高地の要所も確保した。

[トゥーロンでの副官、マルモン]


あ、司令官、大丈夫ですか!?

イングランド兵の銃剣で太ももをやられた。

大丈夫、大過ない!

この怪我が、結果として良かったのだ。

イギリス艦が外洋に撤退した後、革命政府は、残された王党派に、過酷な制裁を加えた。



が、足に怪我を負っていたナポレオンは、この虐殺に立ち会わなくて済んだ。(しかしそうではない記録も残っている)

トゥーロンで勝利したナポレオンは、1783年12月、将軍に抜擢された。24歳だった。


その後も、南仏での勤務が続く。……テルミドールのクーデターまで。

若きナポレオンのトゥーロンでの活躍を、後に総裁政府の総裁の一人となる、バラスが、目に止めていた……。


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登場人物紹介

オーストリア皇帝フランツ


神聖ローマ帝国最後の皇帝でもある。

くそまじめで、四角四面な性格。

ロシア皇帝アレクサンドル1世


父パーヴェルの暗殺に関与または黙認し、即位した。

欧州の平和は自分が守る、と、固く心に誓う「騎士」。

フランス皇帝ナポレオン


あ、最後になっちゃった……。

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