第43話 父帝暗殺
文字数 1,492文字
将校たちがパーヴェル1世の寝室に押し入り、皇帝を暗殺した。
アレクサンドル1世、即位。
パリ……。
※『アレクサンドル一世』アンリ・トロワイヤ[工藤庸子 訳]
アレクサンドルの父、パーヴェル1世の死ですが……。
ロシア宮廷貴族の手による暗殺であることは、間違いありません。ですが、これには、イギリス機密情報機関の積極的支援があったという説を、最近、知りました。「今ではほとんど明らかになっている」と、カッコ書きまでしてありました。
理由は、ロシアの南下、特に、第二次対仏大同盟を脱退してから、ロシアが、イギリスとインド攻撃の為、2万2000のコサック兵を中央アジアに集めていたため、と、書いてありました。地中海の死守は、イギリスの悲願ですから。
実は、これ以前にも、パーヴェルは、フランスが撤退したのに、マルタ島からなかなか兵を引かないイギリスに対して、激しく憤っていたそうです。
『ナポレオン戦争』マイク・ラポート[楠田悠貴](2020.7 白水社) という本です。
確かにパーヴェルは、マルタ騎士団の保護者ですから、フランスを追い出したイギリスが、マルタ島に居座ってしまったのは不愉快でしょう。その上、その奇矯な性格から、何をやらかすかわからないというか……。
また、マレンゴの勝利を知って、ナポレオンのファンになりつつあったという点も、イギリスには、危険視されたでしょう。