第28話 ナイルの戦い

文字数 926文字

1798年、8月1日。

フランス軍のカイロ征服から、1週間後。

[イギリス・ネルソン提督]


見つけた! フランス艦隊を見つけたぞ!

アブキール湾だ!



*エジプトの、地中海側に開いた大きな湾

やつら、エジプトへ向かっていたのか!


さては、インドからイギリスへの補給を絶つつもりだな!

そうはさせるものか!


[アブキール湾に残っていた、フランス艦隊司令官]


我が艦隊は、浅瀬に縦列展開している。ここに割り込むことはできなかろう。


それに、間もなく夜になる。イギリス艦隊の攻撃は、早くても明日早朝だろう。


フランス側の読みは外れた。



イギリス戦艦の一部は、浅瀬での座礁を恐れず、岸とフランス艦隊の間に割り込んだ。

残る半分は、沖から砲撃、フランス艦隊を挟み撃ちにした。



フランス艦隊は、陸側からの攻撃を全く想定していなかったので、これに対処できなかった。



ついに、フランスの旗艦「ロリアン」で、火災が発生した。火は火薬庫に引火し、大爆発を起こした。



エジプト遠征軍が乗ってきた船の大半が破壊された。


一方、イギリス艦隊の戦艦は、一隻も、撃沈されることがなかった。




この「ナイルの戦い」により、フランス軍は、本国との間の補給路を断たれ、エジプトで孤立することとなった。


地中海の覇権は、完全に、イギリスのものになった。



フランスには、この後、長く、ネルソン恐怖症が残ることになる。



※詳細はブログ「ナイル河口の戦い(アブキール海戦)」

[巡航中のイギリス艦隊・ネルソン提督の部下]


我々が拿捕したフランス艦が、ナポレオンの手紙を運んでいました!

ナポレオンの手紙を入手したのだな!

よくやった!

[ナポレオン]



(手紙)


兄さん*

ジョゼフィーヌが浮気している確かな証拠を掴んだ。

相手は、ルクレール**の部下、イポリット・シャルルだ。***


ぐぞう。ジョゼフィーヌめ。俺の純情を弄びやがって!


あんな女、

離婚だ! 離婚だ離婚だ離婚だ!


そういうわけで、フランスへ帰ったらすぐ、離婚するから、その準備を整えておいてくれ。




ブログ「ジョゼフ・ボナパルト」

**  ナポレオンの妹・ポーリーヌの夫。16話「モンテベッロでの憩い」参照

*** 9話「イタリア遠征」参照

おっほ!(喜)


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登場人物紹介

オーストリア皇帝フランツ


神聖ローマ帝国最後の皇帝でもある。

くそまじめで、四角四面な性格。

ロシア皇帝アレクサンドル1世


父パーヴェルの暗殺に関与または黙認し、即位した。

欧州の平和は自分が守る、と、固く心に誓う「騎士」。

フランス皇帝ナポレオン


あ、最後になっちゃった……。

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