第23話 諸国の思惑・カール大公の恋
文字数 1,769文字
フランス軍が、マルタ島を征服しただと!?**
マルタ騎士団の庇護者たる、この俺様をさしおき、なんたる無礼!!
(激怒)
*エカチェリーナ2世の息子、アレクサンドル1世の父
***次章「マルタ島占拠」参照
フランス軍が、エジプトから、シリアへ進軍準備をしているぞ*。フランスの司令官**は、エジプトの支配権を、マムルーク(奴隷出身の軍人。武力を持って、勝手に税を取り立てるなど、エジプトを支配していた)から宗主国である我々オスマン・トルコに取り戻す手伝いをするとか、言ってなかったか?
*次章「ヤッファ・アッコ攻囲戦」参照
**ナポレオンのこと
*次章「ナイルの戦い」参照
**イギリス、シドニー・スミス代将が、オスマン・トルコに協力した
1798年末、フランスを脅威と認めたオーストリア、ロシア、トルコ、イギリス他の諸国は、対仏大同盟を結んだ(第二次)。
翌99年3月、ラシュタット会議*は決裂し、フランスは、オーストリアに宣戦布告をした。
カールは再び、戦場へ赴くことになった。
出発が間近に迫ったある日の夕方。
彼は、宮殿の中庭に佇む白い影を見つけた。
マリー・テレーズだ。
一人でいる彼女を、やっと見つけた。
私たちの国が、貴女のご両親と弟さん*に冷淡だった、と。
*ルイ16世とマリー・アントワネット夫妻は、ギロチンで処刑
弟ルイ・シャルルは、虐待を受け、タンプル塔で死亡したと伝えられる(この時点ではまだ、生死不明)
弱冠24歳の新帝フランツは、まず、宮廷内の旧勢力を一掃する必要があった。
加えて、イギリス、ロシアなどの大国と、協調していかなければならない。
神聖ローマ帝国は崩壊しかけており、その権威は、何の訳にも立たないどころか、むしろ邪魔だった。
*1話「ピルニッツ宣言」参照