第45話 初めてのやりかた
文字数 1,240文字
結局、照れ笑いをする伸の下着まですべて脱がせ、自らも服を脱いで、バスルームに入った。生まれて初めて、自分以外の誰かの髪と体を洗った。
怪我に障らないように洗うのに神経を使ったが、伸の体のあちこちに触れることになり、まだ一度も触れたことのない部分が意外に多かったことに驚いた。そしてその行為は、やはり二人を妖しい気分にさせた。
伸の怪我のせいで、いつも通りというわけにはいかなかったので、初めてのやりかたで愛を交わした。それは、とても静かでありながら、たまらなく官能的な時間だった。
いつもならば、バスルームを出た後は、伸があれこれ世話を焼いてくれるのだが、今日は、有希がバスタオルで伸の体を拭き、下着をはかせる。いつものセットアップを着せようとしたのだが、頭から被るタイプは、腕を通すことが難しかったので、普通のパジャマにした。
ようやくすべて着せ終わると、伸が言った。
「何から何まで、悪いね」
有希は、首を横に振る。
「うぅん。悪くなんかないよ。今、髪を乾かしてあげる。後で湿布も貼ってあげるからね」
伸の世話が出来ることがうれしいし、有希に身をゆだね、まるで子供のように、されるままになっている伸のことが、たまらなく愛おしい。
にやける有希に、伸が言った。
「風邪を引くといけないから、ユウも早く服を着て」
有希はまだ、全裸のまま、水滴を滴らせている。
「うん……」
洗面台の横のラックからバスタオルを取って顔に当てると、いつものいい香りがする。
タオルに顔をうずめたまま、有希は思う。伸くんが怪我をしたっていうのに、なんだか、とても幸せだ……。
その後も、ミネラルウォーターのペットボトルのキャップを取って伸に渡したり、肩に新しい湿布を貼ったりしてから、二人そろってベッドに入った。いつもは伸の右側に寝ているのだが、今日は、怪我に触れないように左側に寝ることにした。
それでも、少し心配だ。
「ねぇ。僕が一緒で大丈夫? もし、邪魔なら……」
だが、伸は微笑んだ。
「邪魔じゃないよ。隣にいてほしい」
「伸くん……」
うれしくて、いつもならば抱きつくところだが、今日ばかりは我慢する。
「ユウがそばにいてくれると安心するし、今日はいろいろしてくれて、とても助かったよ」
「そんなの、当たり前だよ」
そう言いながら、有希は、伸の左肩に、そっと頬を寄せる。いつもと逆向きなので、やっぱり、少し変な感じだ。
伸が、有希の頭に頬を擦りつけるようにしながら言った。
「怪我が治ったら、埋め合わせするよ。そう言えば、いつかした、どこかに出かける約束も、まだ果たせていないね」
「そんなのいいよ。僕は、こうして伸くんのそばにいられるだけで、すごく幸せ。
伸くんのお世話をするのも、なんだか新婚の奥さんになったみたいで、ちょっと楽しかった」
伸が、ふふっと笑った。
「奥さんか……」
有希は思う。伸の怪我が治ったら、出かけるよりも、まずは思い切り愛し合いたいと思ってしまう自分は、やっぱり淫乱だ……。
怪我に障らないように洗うのに神経を使ったが、伸の体のあちこちに触れることになり、まだ一度も触れたことのない部分が意外に多かったことに驚いた。そしてその行為は、やはり二人を妖しい気分にさせた。
伸の怪我のせいで、いつも通りというわけにはいかなかったので、初めてのやりかたで愛を交わした。それは、とても静かでありながら、たまらなく官能的な時間だった。
いつもならば、バスルームを出た後は、伸があれこれ世話を焼いてくれるのだが、今日は、有希がバスタオルで伸の体を拭き、下着をはかせる。いつものセットアップを着せようとしたのだが、頭から被るタイプは、腕を通すことが難しかったので、普通のパジャマにした。
ようやくすべて着せ終わると、伸が言った。
「何から何まで、悪いね」
有希は、首を横に振る。
「うぅん。悪くなんかないよ。今、髪を乾かしてあげる。後で湿布も貼ってあげるからね」
伸の世話が出来ることがうれしいし、有希に身をゆだね、まるで子供のように、されるままになっている伸のことが、たまらなく愛おしい。
にやける有希に、伸が言った。
「風邪を引くといけないから、ユウも早く服を着て」
有希はまだ、全裸のまま、水滴を滴らせている。
「うん……」
洗面台の横のラックからバスタオルを取って顔に当てると、いつものいい香りがする。
タオルに顔をうずめたまま、有希は思う。伸くんが怪我をしたっていうのに、なんだか、とても幸せだ……。
その後も、ミネラルウォーターのペットボトルのキャップを取って伸に渡したり、肩に新しい湿布を貼ったりしてから、二人そろってベッドに入った。いつもは伸の右側に寝ているのだが、今日は、怪我に触れないように左側に寝ることにした。
それでも、少し心配だ。
「ねぇ。僕が一緒で大丈夫? もし、邪魔なら……」
だが、伸は微笑んだ。
「邪魔じゃないよ。隣にいてほしい」
「伸くん……」
うれしくて、いつもならば抱きつくところだが、今日ばかりは我慢する。
「ユウがそばにいてくれると安心するし、今日はいろいろしてくれて、とても助かったよ」
「そんなの、当たり前だよ」
そう言いながら、有希は、伸の左肩に、そっと頬を寄せる。いつもと逆向きなので、やっぱり、少し変な感じだ。
伸が、有希の頭に頬を擦りつけるようにしながら言った。
「怪我が治ったら、埋め合わせするよ。そう言えば、いつかした、どこかに出かける約束も、まだ果たせていないね」
「そんなのいいよ。僕は、こうして伸くんのそばにいられるだけで、すごく幸せ。
伸くんのお世話をするのも、なんだか新婚の奥さんになったみたいで、ちょっと楽しかった」
伸が、ふふっと笑った。
「奥さんか……」
有希は思う。伸の怪我が治ったら、出かけるよりも、まずは思い切り愛し合いたいと思ってしまう自分は、やっぱり淫乱だ……。