第93話 将来
文字数 669文字
淫らな行為にふけり、長い時間をバスルームで過ごし、ようやくパジャマを着てベッドに入る頃には、夜が明けかけていた。今日は日曜日で、伸はもう出勤しないので、一日中一緒にいられる。
もしかすると、数時間後には、また愛を交わし合うかもしれない。有希は幸せを噛みしめながら、伸の肩に頬を寄せる。
伸もまた、有希の髪に顔をうずめながら言った。
「四月には、ユウも大学生だね」
「うん」
「ユウは将来、何になりたいの?」
有希は、首をひねる。
「それが、よくわからないんだ。昔は漠然と、ママの仕事を手伝いたいと思っていたけど……」
「今は違うの?」
「う~ん。なんだか大変そうだし」
伸がふふっと笑い、温かい息が髪にかかる。
「まだ時間はたっぷりあるから、ゆっくり考えればいいよ」
「うん。でも、やりたいことはあるよ」
「そうなの?」
有希は姿勢を変えて、伸の顔を見る。
「前から思っていたんだけど、出来れば、なるべく早いうちに伸くんと一緒に住み始めたい」
「え……」
「あと、少しは料理も覚えたいし、それから、潤子さんと一緒に出かけたりもしたいな」
伸は、ぽかんとした顔で有希を見たまま、何も言わない。
「あれ。伸くんは、僕と一緒に暮らすの、嫌?」
ずいぶん間が空いてから、ようやく伸が言った。
「そんなことはないよ。すごくうれしい」
有希は、伸の腕を掴んで、揺すりながら言う。
「だったら、もっとうれしそうにしてよ」
「あぁ」
そう言いながら伸は、まだぼんやりしている。
「ねぇ、伸くんったら」
伸が、つかんだ有希の手に触れて言う。
「それって、つまり、いわゆる結婚っていうか……」
もしかすると、数時間後には、また愛を交わし合うかもしれない。有希は幸せを噛みしめながら、伸の肩に頬を寄せる。
伸もまた、有希の髪に顔をうずめながら言った。
「四月には、ユウも大学生だね」
「うん」
「ユウは将来、何になりたいの?」
有希は、首をひねる。
「それが、よくわからないんだ。昔は漠然と、ママの仕事を手伝いたいと思っていたけど……」
「今は違うの?」
「う~ん。なんだか大変そうだし」
伸がふふっと笑い、温かい息が髪にかかる。
「まだ時間はたっぷりあるから、ゆっくり考えればいいよ」
「うん。でも、やりたいことはあるよ」
「そうなの?」
有希は姿勢を変えて、伸の顔を見る。
「前から思っていたんだけど、出来れば、なるべく早いうちに伸くんと一緒に住み始めたい」
「え……」
「あと、少しは料理も覚えたいし、それから、潤子さんと一緒に出かけたりもしたいな」
伸は、ぽかんとした顔で有希を見たまま、何も言わない。
「あれ。伸くんは、僕と一緒に暮らすの、嫌?」
ずいぶん間が空いてから、ようやく伸が言った。
「そんなことはないよ。すごくうれしい」
有希は、伸の腕を掴んで、揺すりながら言う。
「だったら、もっとうれしそうにしてよ」
「あぁ」
そう言いながら伸は、まだぼんやりしている。
「ねぇ、伸くんったら」
伸が、つかんだ有希の手に触れて言う。
「それって、つまり、いわゆる結婚っていうか……」