第40話 恥ずかしい形
文字数 865文字
有希は、伸の腕をほどいて伸び上がり、唇にちゅっとキスをしてから言った。
「そんな心配はいらないよ。僕はいつだって、伸くんしか目に入らない。それに生野は、学校をやめて引っ越すんだよ」
「えっ。そうなの?」
「お父さんの会社が倒産したんだって」
「そうなのか。それは気の毒だな」
優しい伸は、表情を曇らせる。
「これから先、大変だろうと思うし、気持ちに答えられないことは申し訳ないと思ったよ。でも僕は、生野のことを恋愛対象としては見られないし、僕には伸くんしかいないんだ」
生野にキスされて、体が疼いたことは内緒だ。でもきっと、あれは、だだの条件反射に違いない。
伸とキスをして、その後で、いつも愛し合っていたことを体が覚えていたのだ。あのとき体は、伸を求めていた。
「これからもずっと、伸くんと一緒にいたいし、何度も何度も、数えきれないくらい愛し合いたい。
さっきの、すごく……よかったよ」
あぁ、言ってしまった。恥ずかしくなって、有希は、伸にしがみついた。
伸が言った。
「明日の授業に差し支えるかもしれないけど、もう一度、する?」
もう悩むのはやめた。自分が伸を愛しているのと同じくらい、伸も自分を愛してくれている。自分が、伸が行彦を思うことに嫉妬したように、伸も生野に嫉妬して、あんなに激しく……。
答えは、とてもシンプルだ。これからもずっと、伸と愛し合いながら生きて行きたい。心も体も、深く。
有希は、伸に身をゆだねる。さっきしたばかりなのに、もう体が反応して、恥ずかしい形になっている。
あの日以来、生野から連絡はない。彼のことをうとましく思ったこともあったし、伸に会いに行ったと知らされたときには、一瞬、嫌がらせなのかと思ったりもした。
でも、実際は、有希のことを思っての行動だったのだとわかった。自分でも言っていたように、なんの得にもならないにも関わらず。
結局、生野のおかげで、伸との仲は、より深まった。なんだか申し訳ない気はするが、素直に感謝しよう。
新天地での生活が落ち着き、いつか彼に、新しい恋が訪れることを願う。
「そんな心配はいらないよ。僕はいつだって、伸くんしか目に入らない。それに生野は、学校をやめて引っ越すんだよ」
「えっ。そうなの?」
「お父さんの会社が倒産したんだって」
「そうなのか。それは気の毒だな」
優しい伸は、表情を曇らせる。
「これから先、大変だろうと思うし、気持ちに答えられないことは申し訳ないと思ったよ。でも僕は、生野のことを恋愛対象としては見られないし、僕には伸くんしかいないんだ」
生野にキスされて、体が疼いたことは内緒だ。でもきっと、あれは、だだの条件反射に違いない。
伸とキスをして、その後で、いつも愛し合っていたことを体が覚えていたのだ。あのとき体は、伸を求めていた。
「これからもずっと、伸くんと一緒にいたいし、何度も何度も、数えきれないくらい愛し合いたい。
さっきの、すごく……よかったよ」
あぁ、言ってしまった。恥ずかしくなって、有希は、伸にしがみついた。
伸が言った。
「明日の授業に差し支えるかもしれないけど、もう一度、する?」
もう悩むのはやめた。自分が伸を愛しているのと同じくらい、伸も自分を愛してくれている。自分が、伸が行彦を思うことに嫉妬したように、伸も生野に嫉妬して、あんなに激しく……。
答えは、とてもシンプルだ。これからもずっと、伸と愛し合いながら生きて行きたい。心も体も、深く。
有希は、伸に身をゆだねる。さっきしたばかりなのに、もう体が反応して、恥ずかしい形になっている。
あの日以来、生野から連絡はない。彼のことをうとましく思ったこともあったし、伸に会いに行ったと知らされたときには、一瞬、嫌がらせなのかと思ったりもした。
でも、実際は、有希のことを思っての行動だったのだとわかった。自分でも言っていたように、なんの得にもならないにも関わらず。
結局、生野のおかげで、伸との仲は、より深まった。なんだか申し訳ない気はするが、素直に感謝しよう。
新天地での生活が落ち着き、いつか彼に、新しい恋が訪れることを願う。