第35 雪深々と

文字数 683文字

 私は雪女(知る人ぞ知る)
この冬一番の寒気団が25日夕から南下してくる。天気予報を信じた。
天橋立、大山、琵琶湖と迷ったが、交通の便が一番よいので琵琶湖を選んだ。
 
「雪が来るというから明日琵琶湖へ行く」
「ええー何で行くの、京都まで高速で行って、後は列車」
相談でない。先制をかけて息子の了解を得た。

道中、ハプニングはあったけど、ほんまに雪が降るのか?
青空が恨めしかった。
 
 目覚めたのは6時。カーテンを引いた。まだ夜は明けていないが
雪は確かに降っていた。

 急いで露天風呂に飛び込んだ。風がないのか真っ直ぐに降っている。
風呂の蒸気で木に積んだ雪がバサッと落ちた。
雪の中に一輪紅椿を見た。椿と目があって「おはよう」

 夜が明けたが、この世は銀世界。
飽きもせず、窓辺にくっついて、眺めている。
幸い角部屋で大きな窓が2面に開いている。湖は一色。
眼下に見ていた長浜城も霞んで見えない。木々に積った
雪で、公園は墨絵の世界さながらである。

 従業員の車だろう。雪の轍が5〜6本ついている。
夫婦連れか黒い犬と散歩している。積雪量は大したことは
ないのかもしれない。犬の足が埋まらず、はっきり見えている。
 
 雪よ降れ降れもっと降れである。
よい見納めをさせてもらった。こんなに気分が良いのに、ごった
返の、ハイキングの朝食はキャンセルした。
9時まで待ってコーヒを飲むことにした。

 天空には陽は昇っているのだ。浮世も明るくなった。

 思慮のない行動に何時も悔しい思いをするが、この度の
感と行動に拍手している。

 旅一人楽しからずや。雪の宿また楽しからずや。

 雪の降る限り此処に居つづける。12月26日8時



ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み