第27話 夜汽車で南京へ(1)

文字数 616文字

 中国語を学んでいる友人が黄山に次いで
南京城壁修繕をメインに、自分たちがツアーを計画した
という誘いに、またも便乗させてもらう。

9月というのに、大陸性気候というのか中国の
残暑はきつかった。

 どこから乗ったのか定かでないが予算の都合もあって
夜汽車で南京へ移動した。初めての夜汽車の旅だ。なんとなく
夢とロマンがありそうだが、
 どうして、どうして、窓から入る風は生温いし、扇風機は音  
ばかり大きくその上、弱風で寝苦しい。
 「南京へ旅す夜汽車の扇風機」
一室四人。寝静まると、ゴキブリが出てきた。
今の中国には考えられないだろうけど、途上国並みだったように
思う。それでも中国の古い文化と歴史と自然に魅せみられて毎年
故郷を訪れる感覚で渡中したものだ。

 早朝、南京へ着く。作業服に着替え、城壁保存会が調達してくれた
帽子と軍手を受け取る。
 太古のレンガの移動を手作業で行う。割れたり、角が欠けているものも
あり、日中友好会により既に沢山のレンガが運ばれていた。

 細やかなお手伝いだったが 
「南京明代城維修XXX此以資念」?と書かれた感謝状を いただく。
4000年とも5000年ともいわれる古い歴史を持つ支那(中国)

 南京城壁は600年以上経過していきると聞くだけに、さすが破損
がひどい。作業の後、城壁に登り、眼下の玄武湖を一望する。
明の時代を想像するに余りある巨大遺産だ。
 「南京は41度照りかえる」
 この後、友の父君が戦争で果てた地へ、図らずも巡る。




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