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文字数 1,081文字
「兄ちゃん、音聴こえるか? 」
「聞こえる。響きがいい曲だ」
「同じ捕食者でも、ツル太郎とは全然違うんだな」
「ツルタロー? 」
「今朝、オレと友達に襲い掛かって来た捕食者だ。蔓 の植物の捕食者だから、ツル太郎。悪い軍人が仕留めたんだけど、首だけ逃がしちまったんだと」
「首・・・・・・。フッ」
「捕食者も笑うんだな」
「ダメか」
「どの辺がツボにはまった? 」
「詮索 するなよ」
「そうだ兄ちゃん、これ知ってるか? ん-んっんんんっんんーんっんっん、んんんーんんんっん、んんんっん」
ソロは一旦音楽を止めて、必殺・キャピタルの鼻歌を放った。
この中毒性、果たして捕食者にも通用するのか。
「なんだそれは・・・・・・」
「ふん、ふーん、んんんっん、んんんーんっんんんんんっんん。ふん、ふーん、んんんっん、んん、んんんんっんー、Huh!」
このサビと合いの手から逃れられるものなどいない。
「・・・・・・んんんんんんーんんん・・・・・・」
歩きながら何度か繰り返していたら、捕食者もついに口ずさみ出した!
「やった感染 った! 」
楽器のような深みのある低音で口ずさむものだから、普段聞いているキャピタルのソレよりも重厚感があり、圧倒的に上質だ。
風呂場の水垢のごとく脳内にこびりついたキャピタルバージョンを根こそぎ削り落として、捕食者バージョンに上書きしたい。
「天敵で遊ぶのはやめなさい。話の続きを」
「ツル太郎は人間のことも、オレみたいなきのこの成り損ないも、超見下してた。頭突きを食らわしたら赤い鼻血を出したから『人間と同じ色』って言ったら、超お冠 になって、オレの首をねじ切ろうとしてきたんだぜ」
「それはお冠 だろうな。俺たちは人間が大嫌いで、全生物の天敵であることを誇りに思っているから」
「やっぱり捕食者なんだな」
「戦うか? 」
「やられた時しかやり返せねぇよ。戦えない」
「じゃあそうしよう」
「なんでオレ、喋ったり動いたりできるんだ? 兄ちゃんは捕食者なのに」
「お前に向ける殺意がないから」
「兄ちゃんみたいな捕食者ばっかだったらいいのにな」
「そうなって欲しかったら、人類にはもっと増えてもらわないと」
「なんで? 」
「効率の良い養分だから。食料を育てるのもうまい」
豪雨も雷もホッとする。
「食料が足りなくて、俺たちは困っている」
この物騒な捕食者が隣を歩いているのが良い。
「増えろ。そのために俺たちは弱毒化 した」
恩着せがましい言い方だ。人類が大人しく食料になると思っているのだろうか。
「曲を聞かせてほしい」
「おう」
ソロがスイッチを入れると、『スパルタカス~バッカナール~』がノリノリで流れた。
「聞こえる。響きがいい曲だ」
「同じ捕食者でも、ツル太郎とは全然違うんだな」
「ツルタロー? 」
「今朝、オレと友達に襲い掛かって来た捕食者だ。
「首・・・・・・。フッ」
「捕食者も笑うんだな」
「ダメか」
「どの辺がツボにはまった? 」
「
「そうだ兄ちゃん、これ知ってるか? ん-んっんんんっんんーんっんっん、んんんーんんんっん、んんんっん」
ソロは一旦音楽を止めて、必殺・キャピタルの鼻歌を放った。
この中毒性、果たして捕食者にも通用するのか。
「なんだそれは・・・・・・」
「ふん、ふーん、んんんっん、んんんーんっんんんんんっんん。ふん、ふーん、んんんっん、んん、んんんんっんー、Huh!」
このサビと合いの手から逃れられるものなどいない。
「・・・・・・んんんんんんーんんん・・・・・・」
歩きながら何度か繰り返していたら、捕食者もついに口ずさみ出した!
「やった
楽器のような深みのある低音で口ずさむものだから、普段聞いているキャピタルのソレよりも重厚感があり、圧倒的に上質だ。
風呂場の水垢のごとく脳内にこびりついたキャピタルバージョンを根こそぎ削り落として、捕食者バージョンに上書きしたい。
「天敵で遊ぶのはやめなさい。話の続きを」
「ツル太郎は人間のことも、オレみたいなきのこの成り損ないも、超見下してた。頭突きを食らわしたら赤い鼻血を出したから『人間と同じ色』って言ったら、超お
「それはお
「やっぱり捕食者なんだな」
「戦うか? 」
「やられた時しかやり返せねぇよ。戦えない」
「じゃあそうしよう」
「なんでオレ、喋ったり動いたりできるんだ? 兄ちゃんは捕食者なのに」
「お前に向ける殺意がないから」
「兄ちゃんみたいな捕食者ばっかだったらいいのにな」
「そうなって欲しかったら、人類にはもっと増えてもらわないと」
「なんで? 」
「効率の良い養分だから。食料を育てるのもうまい」
豪雨も雷もホッとする。
「食料が足りなくて、俺たちは困っている」
この物騒な捕食者が隣を歩いているのが良い。
「増えろ。そのために俺たちは
恩着せがましい言い方だ。人類が大人しく食料になると思っているのだろうか。
「曲を聞かせてほしい」
「おう」
ソロがスイッチを入れると、『スパルタカス~バッカナール~』がノリノリで流れた。