p32 きのこの夢③

文字数 376文字

  恥ずかしい。

 また一人だけ余ってしまった。

 先生に命じられて、もう出来上がっているグループに放り込まれた。

 わざわざ出来上がっているグループに放り込むことがあるだろうか。

「ごめんなさい。よろしくお願いします」

 誰も目を合わせてくれない。

 挨拶代わりのため息と、沈黙。

 自分が無理やり入れられたせいで、一人、別のグループに追いやられたから。

「本当に、すみません」

「もういいから、そういうのやられるとイラつく」

 残ったメンバーをなるべく不快にさせないように、・・・・・・いや、そんなことはもう、何をやっても無理。

 だって、もう、自分は敵なのだから。

 仲間を外へ追いやる敵。

「あーあ、また泣いた」

「ねえ、知ってる? 泣くとさ、周りが悪く見られるんだよ。すっごい迷惑なんだよ、ソレ」

 自分という存在は、やはり人類の敵に違いない。

 涙が止まらないのが悔しい。



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