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文字数 1,274文字
「おまえすごいな、ピァピタン・・・・・・」
「さっきから滑舌 悪いぞ。勝てなくても戦うのが人類だろ」
「かちぇぜちゅわるいのはもともとだ。じゃ、みをていしておれをまもってくれや」
「何が悲しくてテメーみてーなナマイキでケンカっ早いきのこの為に、命投げ出さなきゃなんねーんだよ」
地上の生物が菌類に寄生され始めてから現在に至るまで、感染を免れて生き延びた生物の子孫たちは種類を問わず非常に屈強 である。
菌類に寄生されていない有 しており、軒並 み丈夫で病気にも強く、身体能力も優 れている。
キャピタルもその例に漏れず、菌類に寄生されている者よりもはるかに高い身体能力を有 している。
鍛えている分、そうでない者たちより筋肉量も多く力も強い。
「おれは、おれの強さを証明するために戦うんだよ」
空になった弁当箱を放ると、キャピタルは掃除用具入れからモップを取った。
「よく聞け、ソロ。お前が食われてる隙 におれが叩くから、しっかり囮 になれよ」
「もっといいさくせんかんがえてくれよ」
「あっ、イイこと思いついた。お前、食いつかれたら捕食者をホールドしろ。その隙 に叩くわ」
ただし、キャピタルの場合は脳まで筋肉に侵 されているかもしれない。
「なにが『いいことおもいついた』だよ。オレがくわれるぜんていのさくせんたてんな」
遠くから足音が聞こえてきた。だが、一組の足音しか聞こえない。
聞き慣れた軍靴の音のはずなのだが、未知の気配を感じる。
さきほど軍隊が到着したと思ったおびただしい足音は、捕食者に瞬殺されたのか。
捕食者に関する情報は、姿かたちや現れた後の惨状に関することばかりで、実際のところ、その習性や実態を知るものは少ない。
頼みの綱 の監視カメラも富士山が噴火して以降、降灰のせいで電子機器全体の調子が悪く映像が荒い。
軍隊や警察などは捕食者の全容をある程度把握しているのかもしれないが、混乱を防ぐため一般人までその情報は回ってきてはいない。
ゆっくりとこちらに向かってくる恐ろしい気配は、ソロの恐怖を最高潮に掻き立てた。
何も喋らなくなったソロを見て、キャピタルも臨戦態勢 に入る。
キャピタルの肝 の座 り方を見て、恐怖におののくソロも覚悟を決めた。
「なあ、おれをとびらまでひっぱってくれ」
キャピタルは無言でソロの襟 をつかむと、扉の前まで引きずった。
「こっちのとびらからはいってこなかったら、おれがくわれてるあいだににげろよ」
「いい心がけだぜ、ソロ」
「あと、左手の収穫後のドアップも撮っていいからな。オレの遺影 はそれで頼む」
「食われた後じゃ撮れねぇだろ。だから意地悪すんなっつったのに」
キャピタルはモップの角がいつでも振り下ろせるように構 えた。
足音が教室の前で止まったところで、扉が勢いよく開いた。
キャピタルが侵入者に向かって勢いよくモップを振り下ろす――が、鈍 い手ごたえと音と共に、持ち手から折れてしまった。
その瞬間、ソロとキャピタルの視界に、緑色のものが飛び込んできた。
「さっきから
「かちぇぜちゅわるいのはもともとだ。じゃ、みをていしておれをまもってくれや」
「何が悲しくてテメーみてーなナマイキでケンカっ早いきのこの為に、命投げ出さなきゃなんねーんだよ」
地上の生物が菌類に寄生され始めてから現在に至るまで、感染を免れて生き延びた生物の子孫たちは種類を問わず非常に
菌類に寄生されていない
現代の人類
は、体に菌類が寄生しにくい・菌類が増殖しにくい体質の遺伝子をキャピタルもその例に漏れず、菌類に寄生されている者よりもはるかに高い身体能力を
鍛えている分、そうでない者たちより筋肉量も多く力も強い。
「おれは、おれの強さを証明するために戦うんだよ」
空になった弁当箱を放ると、キャピタルは掃除用具入れからモップを取った。
「よく聞け、ソロ。お前が食われてる
「もっといいさくせんかんがえてくれよ」
「あっ、イイこと思いついた。お前、食いつかれたら捕食者をホールドしろ。その
ただし、キャピタルの場合は脳まで筋肉に
「なにが『いいことおもいついた』だよ。オレがくわれるぜんていのさくせんたてんな」
遠くから足音が聞こえてきた。だが、一組の足音しか聞こえない。
聞き慣れた軍靴の音のはずなのだが、未知の気配を感じる。
さきほど軍隊が到着したと思ったおびただしい足音は、捕食者に瞬殺されたのか。
捕食者に関する情報は、姿かたちや現れた後の惨状に関することばかりで、実際のところ、その習性や実態を知るものは少ない。
頼みの
軍隊や警察などは捕食者の全容をある程度把握しているのかもしれないが、混乱を防ぐため一般人までその情報は回ってきてはいない。
ゆっくりとこちらに向かってくる恐ろしい気配は、ソロの恐怖を最高潮に掻き立てた。
何も喋らなくなったソロを見て、キャピタルも
キャピタルの
「なあ、おれをとびらまでひっぱってくれ」
キャピタルは無言でソロの
「こっちのとびらからはいってこなかったら、おれがくわれてるあいだににげろよ」
「いい心がけだぜ、ソロ」
「あと、左手の収穫後のドアップも撮っていいからな。オレの
「食われた後じゃ撮れねぇだろ。だから意地悪すんなっつったのに」
キャピタルはモップの角がいつでも振り下ろせるように
足音が教室の前で止まったところで、扉が勢いよく開いた。
キャピタルが侵入者に向かって勢いよくモップを振り下ろす――が、
その瞬間、ソロとキャピタルの視界に、緑色のものが飛び込んできた。