第6話

文字数 1,023文字

たった1日休んだだけだったのに……。

真称(マホロ)、休み時間ではあるが、教室内でテストと格闘をしていた。算数のテストだ。壇上橫にある担任の先生の席では、岡野っちが宿題をチェックしていた。これが終わったら、社会のプリントが待っている。
「ごめんな~マホロさん。運動会前でちょっとバタついちゃって」
「いえ……はい、終わりました」
「お、見直し、したか?」
「はい、大丈夫です」

ほんとはしてないけど……

「OK、じゃあ……」
岡野っちは、腕時計をチラリと見る。
「休み時間があと5分あるね。プリントは明日でもいいから、ちょっと休憩して」
「はい、分かりました」
テスト用紙とその他ノート類を持つと、担任は教室を出た。1人の教室で伸びをする。
快調なんだけど、テストは疲れる。嫌だからかな?一維(カズイ)はテストの時間が好きだそうだ。理由を聞くと…

「え、だってテストが終わったらゆっくり自分の時間でしょ?楽じゃない?」

楽じゃない…
そんな簡単に終わらないっての。カズイって意外と頭いいのかな?私の弟なのに?おかしいな…。
水筒のお茶をのもうとした時、教室に誰か入ってきた。
「終わった?テスト」
(タクミ)。うん、終わった」
お茶をのんで、水筒を机の橫にかける。
「マホロに言わなきゃって思って…」
「ん?何?」
「昨日さ、白組応援団の集まりがあってさ、これ、応援歌だって」
1枚のプリントを渡される。
「ん。ありがと」
「明日、放課後、練習があるよ」
へえ、案外ちゃんとやるんだ。
「わかった。どこに集まるの?」
「えっとね、中庭だって」
「わかった」
私は、渡されたプリントを見ながら、これを覚えるのか…と途方にくれる。
あまり得意じゃないんだよね…暗記って。
「マホロって、転校生なの?」
「え?うん、そうだよ。2年生の3学期に引っ越してきた」
「へえ…僕とあんまり変わらないね」
「そっか、タクミは3年生でだっけ」
「そ。ここって転校生、多いよね」
「そうなの?」
「だって、毎月誰か来てる」
そうなのか。それは多いのかな?普通がどの程度なのか分からないから、なんともいえないけど。
タクミと話してる間に、クラスの人たちが帰ってくる。水分補給をそれぞれがしながら、ワイワイと賑やかになっていく。
「ねえ、マホロ、今日って遊べる?」
「え?遊べるよ」
「じゃあ、放課後遊ぼ」
驚いた…。タクミって外で遊んだりするんだ。
「いいよ。東公園集合でいい?」
「いいよ、じゃあ放課後ね」
ちょうどチャイムが鳴る。
私は新たな友だちとの約束に、ちょっとワクワクしていた。
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