第11話
文字数 1,528文字
11。
「マホロ!くじ引きしようよ!」
「ええ?私はいいよ~。でも…ポテト食べたいから…一緒に行く。」
「じゃあ、いこ!」
私は、周りの同級生とはちょっと違うらしい。
毎年、学校の先生との面談のあと、親は「尋乃 はみんなと仲良くできないの?」と言う。特別仲良くしてるって感覚もなかったけれど、仲良くないとも思っていない。お母さんは何を言われているんだろう?近所の人たちとの話では「ほら、うちの子、ちょっと変わってるでしょう?」って話す。どういう意味なんだろう?
そんなもやっとした感じでいるなか、マホロに出会った。マホロは思ったことをポロっと言うんだけど、その行動が私は好きだった。3年の時、明日菜 に声かけてくれた。アスナは給食食べるの遅いってだけであーだこーだ言われた。とても気にしていたアスナだったが、マホロはしれっと声をかけて、しれっとその場を終わらせた。どっちもそこまでにしとこうね、的な。食べるの遅いのは仕方ないことだけど、早く終わってる子たちが、連帯責任みたく待たなきゃいけないことに不満を感じていることについても、彼らが悪いわけではなく……けれど、それを言葉にして攻撃してしまうとそれは嫌な言葉のトゲになるから、はい、ここまでだよ、みいたいな……。うまく言えないけど、私はピンときたのだ。マホロの見え方って私は好きだ、と。
「ポテトっていくらなの?」
と私。
「50円って書いてあるよ」
「え!私も買う!」
列に並びながら、2人で財布片手にホクホクする。紙でできた三角コーンにザラザラってポテトが入れられる。
「熱いからね、気をつけてよ~」
おじさんがにこにこでひとつずつ渡してくれる。マホロ、50円、私、50円、それぞれ渡す。あつあつをふーふーって食べる。
「おいしいね」
とマホロ。にっこり笑ったマホロの顔が何だか嬉しい。いつもあまり表情を変えないマホロだけど、今日はころころ変わる。楽しんでるのが分かる。それが何だか嬉しいのだ。
「ね、くじのとこ、いこ」
「いいよ、何が当たるの?」
「なんだろ……私ね、あの大きなぬいぐるみが欲しくて……」
私とマホロはポテトのテントから2つ隣のテントへ移動しようとしていると、見たことある人を見つけた。
「なんだよ……お前らも来てたのか……」
「高橋……くん」
思わず口にした名前は、上級生に対して呼び捨てだったので、ちょっと間はあいたが“くん”をつけてみた。焦った感がもろに出てしまった…。
「……慌てて付け足したな」
クシャっと苦笑いする高橋は、グランドでボールを投げつけてきた人とは別人だった。
「いいよ、怖がらせたこと、ホントだし、俺も悪かったと思ってるから…」
予想外の反応に、私は思わずマホロを見た。同じことを考えたのかマホロも私を見ていた。
「何だよ、悪かったって思ってるよ、ほんとに。特にマホロ、止められなくて、ごめん」
え…なに……?
高橋の言葉にどきっとする。
たぶん、ほんとに謝ってる…。
こんなときのマホロの答えは手に取るようにわかった。
「……大丈夫です。もう終わったことです。高橋くんはもうしないってわかりましたから」
ほら……、ね。
マホロは許しちゃうんだよね。きっと坂下のことも許してるんだろうな……。
「ありがとう。もう、しないよ。坂下ともちょっと距離をおいてるんだ…」
高橋の言葉に、私の頭の中に下駄箱での女子の噂話がよみがえってきた。
「ケンカでもしたんですか?」
「ヒロノ……」
あっ……
思わず聞いちゃったけど、2コ下の女子に話すことじゃないか…
でも、高橋…くんは、嫌な顔しないで答えてくれた。
「いいんだよ。うん。ケンカ…なのかな?俺……怒っちゃったんだよね」
すごく悲しそうに高橋くんは言った。
「マホロ!くじ引きしようよ!」
「ええ?私はいいよ~。でも…ポテト食べたいから…一緒に行く。」
「じゃあ、いこ!」
私は、周りの同級生とはちょっと違うらしい。
毎年、学校の先生との面談のあと、親は「
そんなもやっとした感じでいるなか、マホロに出会った。マホロは思ったことをポロっと言うんだけど、その行動が私は好きだった。3年の時、
「ポテトっていくらなの?」
と私。
「50円って書いてあるよ」
「え!私も買う!」
列に並びながら、2人で財布片手にホクホクする。紙でできた三角コーンにザラザラってポテトが入れられる。
「熱いからね、気をつけてよ~」
おじさんがにこにこでひとつずつ渡してくれる。マホロ、50円、私、50円、それぞれ渡す。あつあつをふーふーって食べる。
「おいしいね」
とマホロ。にっこり笑ったマホロの顔が何だか嬉しい。いつもあまり表情を変えないマホロだけど、今日はころころ変わる。楽しんでるのが分かる。それが何だか嬉しいのだ。
「ね、くじのとこ、いこ」
「いいよ、何が当たるの?」
「なんだろ……私ね、あの大きなぬいぐるみが欲しくて……」
私とマホロはポテトのテントから2つ隣のテントへ移動しようとしていると、見たことある人を見つけた。
「なんだよ……お前らも来てたのか……」
「高橋……くん」
思わず口にした名前は、上級生に対して呼び捨てだったので、ちょっと間はあいたが“くん”をつけてみた。焦った感がもろに出てしまった…。
「……慌てて付け足したな」
クシャっと苦笑いする高橋は、グランドでボールを投げつけてきた人とは別人だった。
「いいよ、怖がらせたこと、ホントだし、俺も悪かったと思ってるから…」
予想外の反応に、私は思わずマホロを見た。同じことを考えたのかマホロも私を見ていた。
「何だよ、悪かったって思ってるよ、ほんとに。特にマホロ、止められなくて、ごめん」
え…なに……?
高橋の言葉にどきっとする。
たぶん、ほんとに謝ってる…。
こんなときのマホロの答えは手に取るようにわかった。
「……大丈夫です。もう終わったことです。高橋くんはもうしないってわかりましたから」
ほら……、ね。
マホロは許しちゃうんだよね。きっと坂下のことも許してるんだろうな……。
「ありがとう。もう、しないよ。坂下ともちょっと距離をおいてるんだ…」
高橋の言葉に、私の頭の中に下駄箱での女子の噂話がよみがえってきた。
「ケンカでもしたんですか?」
「ヒロノ……」
あっ……
思わず聞いちゃったけど、2コ下の女子に話すことじゃないか…
でも、高橋…くんは、嫌な顔しないで答えてくれた。
「いいんだよ。うん。ケンカ…なのかな?俺……怒っちゃったんだよね」
すごく悲しそうに高橋くんは言った。
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