第4夜 16節
文字数 365文字
サツキは悪戯っぽく、レナにそう語りかけた。
【ヤミカガミ】の侵蝕に苦しむレナはぼんやりとした頭に響き渡るサツキの声を聞きながら、布団をぎゅうと握り締めた。
……ヒナと云う妖が居て、サツキと同じ名前の……いや、妖と云う事が判明した目の前のサツキが居た……そんな昔話。だが、それが「レナが特別である」事に関係あるのだろうか。
『焦らないの、まだ話の途中よ?』とサツキは笑う。
『………だっておかしいでしょ、【サツキ】があの時死んでいるなら…今此処にいるアタシはだぁれ?…くすくす、この話にはね、続きがあるの。アタシが一度死んでから暫くは記憶が無いからあんまり詳しくは言えないけど……ここからが面白いところなのよ?』
「……、?」
『さぁ────それじゃあ続けましょうか。アタシと───レナ、アンタのはじまりの物語よ』