第3夜 17節
文字数 449文字
直ぐに戻る、と言っていたので十分もかからない用事だと思っていたが、二十分を過ぎてもレナは帰って来なかった。……夕飯が冷めてしまうな。
セツナは料理の皿にラップをして────そこで、ふと嫌な「気」を感じた。
「……レナ?」
すごく遠くから感じる、微々たる「気」だ。
だが、それは逆に言うと遠くからでも感じられるほど大きな「気」である事を示している。
その「気」は禍々しく、憎悪と殺意を孕んでいて───そしてそれは、【裏社会】でレナに対して感じた「邪気」に、よく似ていた。
背中に、ぞくりと鳥肌がたった。
レナ?
レナが、何かをしている?
レナが見ていたニュース番組の内容がぼんやりと脳裏を過ぎる。
確か───学校のいじめで、男子生徒が自殺して───。
……ユキに、何かがあった?
……それは、確信に近い感情だった。
セツナはエプロンを脱ぎ捨てると、ガス栓を止めるのも、電気を切るのも、鍵を掛ける事すら忘れて家を飛び出した。
分からない。何も分からない。でも───
何か、ものすごく嫌な予感がする…ッ!!!