第3夜 15節
文字数 607文字
おんぼろなテレビでは、ゴールデンタイムのバラエティ番組が始まっていた。レナはそれを見ながら洗濯物を畳む。キッチンではセツナが夕食の支度をしていた。
……他に面白い番組はしていないだろうか。あ、そういえば、この前ユキが教えてくれたアニメがそろそろ始まるんだっけ。録画、しておこうかな……。
そう思って入力切り替えをすると、夜のニュース番組が映った。
『××市の高等学校で、男子生徒が自殺すると云う事件がありました。原因は学校内のいじめで────』
気にせず番組表を開こうとしたレナの耳に、そんなニュースが飛び込んでくる。
どくん。
心臓が、いやに煩く跳ねた。
………自殺?いじめ?学校で…?
───それは、本能で感じる【嫌な予感】だった。
脳裏に、ユキの笑顔が浮かぶ。レナの脳に浮かび上がったユキは、悲しそうに笑うと後ろを向いて歩みを進め、その先には屋上のフェンスがあって────。
レナは、膝の上で畳んでいた洗濯物を落として立ち上がった。それに気付いたセツナが「レナ?」と声を掛ける。
……確信なんて、何も無い。理由なんて、存在しない。けれど……けれど、胸がものすごくざわざわして、本能が警鐘を鳴らしている。
ユキが、危ない。
そう感じたら、行動は早かった。
レナはそのまま一直線に玄関へ向かう。
「あ、ちょッ……レナ!?」
「ごめんセツナ、すぐ戻るからッ!!!」
急いで靴を履いて、夜の街へ飛び出した。
目指すは國宮学園、その屋上────。