第10話

文字数 333文字

 そのまま中三を通しての不登校。
 学校から距離をとって心の安定は保たれたが、それを反映した内申の通知により、高校進学は難しくなった。県立に受験はしてみたが、予想どおり、合格はしなかった。
 定時制に進む方法もあったが、悩んだ末、美琴は原級処置を選び、同級生のいなくなった中学に籍を置いたまま保健室登校を始めた。
 たとえひとりぼっちでも、一年という代償によって、粗野な生徒のいない環境が手に入るなら、その方がいい。

 確かに最初のうちは保健室登校だった。
 しかし、音楽室の空き時間をチェックし、そちらに移る時間が多くなった。もとから音楽教師と仲のよかった美琴にとって、それはごく自然なことだった。

 音楽室ですごす独りぼっちの日常。
 ピアノでバッハをちまちまと弾いてみたり。
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