第7話

文字数 339文字

 それが、美琴にとって、嵐の始まりとなった。

 直接の原因は男子生徒による悪質ないたずらだったし、最初から警察が関わったこともあり、学校の対応はしっかりしたものだった。
 美琴も「これで大丈夫、あとは時間が解決するだろう」と最初は楽観していた。
 しかし、周囲の気づかいが精神的な壁となり、その壁に共鳴して固まっていった彼女の硬質な雰囲気は、いったん始まってしまうと誰もこわせないほど強固なものへと変質していった。

 周囲との絶対的な距離。

 トイレで処女を失った、という噂までひろまった。美琴はあえて口に出して否定する気になれなかった。まともに取り合うことさえ、みじめな敗北と感じられた。

 結局、中二の一年間は、孤高なのか仲間はずれなのか、どちらともつかない気まずい状況のまま終了した。
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