第28話

文字数 676文字


 カズキは、日曜の夜おそくにメールを送った。たっぷり考えた結果、何が正解かはわからないが、自分なりに可能な限り発想を飛躍させて。
 これが「リア充の決定打」となるべき、という熱い予感に震えつつ。



《未来に対する君の責任に、早く気がついてほしい。もうあまり時間がない》



 10分とたたずに美琴からとどいた返信→


《ごめん。不発》


 だよねー。
 飛び去るリア充の夢。
 いや、まあ、不発なのはわかる。
 そうだろうと思っていた。
 未来に対する責任、なにそれ? バカなの?
 いやいや、そんなこと言われたって、こっちだってわからないっちゅうの。
 それでも、こういう不可解なメールを期待したのは、ミコさんの方ではないのか?
 こういったメールこそ、期待していたのではなかったのか?
 わからない。
 わからないけれど、やるべきことはひとつ。
 また、べつのアプローチを考える。
 山は登るためにあるのだ。

 休み明けの月曜の放課後は、カズキは文芸部に顔を出さなかった。
 なんとなく思考が邪魔されることが嫌で、一人で美琴のことを考え続けた。
 朝からまる一日、悩み続け、休憩時間も誰とも会話をせずふらふらと廊下を歩き、熟慮の末に作り出した次のメール。
 ごめんね、二回目であてちゃっても知らないよ、と根拠のない自信と共に送ったのは、月曜の22時ごろ。


《私は異世界人である。おまえに平行宇宙から我が意思を送り込んだ。これは実験であると同時に、人類救済の一歩である。どうか目を背けないでほしい。人類は君の覚醒をまっている》


 ふたたび10分とたたずに美琴からとどいた返信→


《……》


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