第13話

文字数 324文字

 美琴は一年遅れで女子高に進学することにした。
 乗り替えをふくめて五駅先にある鶴井女子高等学校へ。
 もちろん私立の女子高校はお金はかかってしまう。
 しかし男子たちとよけいな関わりを持ちたくないという願いを実現するには、うってつけの選択だった。
 さいわい通学に使う路線は、都心とは逆方向ということで、朝の混雑もさほどではない。

 最寄り駅から高校までは、街路樹の立ち並ぶ遊歩道が続く。
 名門校というほどではなかったが、良妻賢母教育で古くから知られる鶴井女子。

 美琴は希望に胸をふくらませる余裕などみじんもなかった。
 しかし、この鶴井女子を選んだことが、美琴の人生を大きく変えることになるとは、想像もしていなかった。
 そこにあった古い一台のピアノと共に。
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