鬼女

文字数 1,915文字









      《札場病院-3F》



はぁはぁ····っっ!!!
うぅ···っっ
ひ、人の···首···が···っ

ハァハァ··

うっ、腕···っ  ···が







··俺の目の前に転がっていたモノ


それは···






人··のモノと思われる


体の一部だった···





散らばった四肢は···、まるで何かに


食い散らかされたかのように


おぞましい状態でゴロゴロと、


大量に転がっていた···








(··俺がつまづいたものは、胴体··?!)
   


        ヌル···ッ



っ!!!!
こ、これ···は




当然の如く


俺の周りは血の海だった··




····ヤバい

意識が遠退きそうだ··

でも···、ここを通らないと

追い付かれ··




あ~···すまぁぁぁ~~··




···言ってるそばから

来るぞっ!!










我に引き裂かれろ··· アスマ――··















      ズサッ  ズサ···ッ




なっ?!!!?







··ドレ程の人間を引き裂いテも··


引き裂イても···


この餓えは治マラぬ








お前を引き裂カセろぉぉォォォッッ!!






じょっ、冗談じゃねえぞっっ!!!




ふ··· フハッ····· ウクくくく···




?!!!
     ズグオオオォォオオッッッ!!!









バラバラに引き裂いて

ハラワタまで貪り尽くシテくれルわァァッッ!!!


ッッッ!!!!!!!
おっ、鬼っっ!!!!?
サァ~··、その目玉からクリ抜いてヤロうかぁ~··? ヒヒヒ··
·····ハァッ··ハァッッ
うぅ··· 

(··もうダメだ)




そう···思ったその時····















  グアアアァァァァォッッ!!!!!!

     キシャァァ――――ッッ!!!







っッ!!!!!??
えっ?!

(今度は何だよ?!)







突如、目の前に現れたのは


金色に輝く巨大な···


錦蛇···?!


宙を舞いながら俺の周りを


グルグル回りだした









··そしてその蛇は、   


まるで俺を守るかのように


立ち塞がった···







(こ、この蛇は一体なんだ··?!)






      ドドドドドドドッッッ




         ズサーーーーッ




えっ?!
勾陣(こうちん)っ!!! ハァッ ハァッ

やっておしまいっ!!!

レンっっ!!!!
グアアアッッッ!!!?

貴様ぁァっ!!!

百鬼であリナがラ我に楯突くかァァぁァァっ!!!!




   キシャァァ――――――ッッッ!!!



ハァッ ハァッ

アスマさん大丈夫ですか?!!

う、うん···

あの蛇は··レンが··?

は、はいっ!

遅くなってしまってご免なさいっ

レン···、有り難う··

もうダメかと思った··

ま、間に合って良かった··本当に··
そ、それにしても···、まさか夜叉鬼女がこんな所に出るとは··っ!!
夜叉···鬼女?!
アレは···、人間をバラバラにして喰らう鬼です··、特にも若い人間を好んで狙う
アスマさんの場合は、鬼女にとって絶品なのでしょう···!
······っ!!
とにかく今は勾陣に任せて、さっさとこんな所からはおさらばです!
ハ···ッ
で、でも···

この先には·· ひっ、人の··

···········
···さぁ、参りましょうアスマさん
レっ、レンっ!?

そんなの···無理だよ··

大丈夫です!

目を瞑って··私と手を繋いで下さい

············




俺は仕方なく目を瞑った···






··レンは自然に俺の手を取って


そのまま手を引き、歩き出した







俺は···目を瞑っていても、


さっきの光景が脳裏に焼き付いていて


先に進むのが中々難しかった···







だが、俺達の横では妖怪大戦争が


繰り広げられている···







さっさと歩かないと···っ





さあ、もう目を開けても大丈夫ですよ
···え



そう言われて目を開けた··



あ···




··そこは、非常階段の踊場だった




か、鍵は···

開いていたのか··?

はい··

恐らく、鬼女の仕業だったのでしょう

今は勾陣が鬼女の妖力を吸い取りながら戦っていますので
開いたのかもしれません···
···ホッ
さあ、直ぐにでもハルトさんの本当の病院を探さなくてはですよ!
····あっ、でも
···?
···叔父さんは本当に··

事故に遭ったのかな··?

あの電話も···、百鬼の仕業だったら··
それは····、分かりませんが··

取り敢えず早くここから出ましょ



そうして、俺達は急いで階段を下りた··















      《札場病院-1階》



こっ、これは····っ!?
この病院は···やっぱり··




廃病院だった····




目の前には、荒れ果てた待合室があり


さっき通ってきた受付も


埃とクモの巣だらけになっていた





外からの明かりで多少見える程度では


あったが、ガラスや窓も


割れ散らかっている状態だった··




···こんな事にも気付けないなんて··

私は··

(··才能の欠片もないのかもしれない)
レン····
と、とにかく··

ハルトさんに電話を入れてみましょう

うん···





俺達は廃病院を出て


ハルト叔父さんに連絡を取ることにした··





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登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。··最近彼女にフラれた。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

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