第五話 露天風呂にて②
文字数 3,718文字
-PM 9時45分-
《法願寺-露天風呂》
カタカタッカタ·····
カタカタカタカタカタカタカタカタ
カタ···ッカタカタ
グルンッッ
グルグルグルグルグル-···
そう、そこにいたのはさっき住職が話していた呪いの人形だった
カタカタと音を立てながら歩いているようだが、見るからに風呂場の石畳を滑るように移動している。
何処から音が鳴っているのかは全く分らない。
更には自らの首を360度回転させながら動いている事に、気味悪さが倍増していた。
カタカタカタカタカタカタカタ
俺は静かに、少しだけお湯の中に潜りながら岩影へと移動した。
・・・この数珠、本当に結界を張ってくれてるのか?
全く分からん
もう少し····こう、色が見えるとか何かを感じるとかあってもよくないか
まじで頼むよ数珠っ!
-PM 10時35分-
《法願寺-客間》
《法願寺-露天風呂》
シーーーーーーーーーーーン·····
湯煙で視界の悪い露天風呂内を見渡してみると、湯船から上半身を打ち上げた状態で、うつ伏せのままつっぷしているアスマさんを発見した
ズルズルズル-····
ッドサッ
俺にその瞬間の記憶は殆ど無い··。が、ただ1つ覚えている事がある。
それは・・・レンの膝枕だ
レンが俺の両腕を引っ張り、湯船から引き上げた時にどうやらそのまま尻餅を着いたようだ。
で、そのまま膝枕····
不可抗力ですよ?
ごめん、レン···
願わくば、もう少し膝枕を···!!
-PM 11時00分-
ボーン ボーン ボーン-·····
ガバッ!!!
ガチャ-··· パタン
自らレンの膝枕を求めておいて何だが
既に迷惑をかけっぱなしだ··
俺にもレンのような能力があればなぁ、霊感の強すぎる只の凡人だぜ··
··自分で言ってて悲しくなるわ
俺は再度湯船に浸かりながら己の無能さを嘆いていた。
ガチャ-··· パタン
ガチャ-··· パタン
チャプ-···· パシャ···
カタンッ-·····
気持ちよくお湯に浸かっていたのも束の間、さっきアスマさんが話していた呪いの日本人形らしきモノが姿を晒していた
カタンッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
グルンッ
グルグルグルグルグルッッ
日本人形はオカッパの髪の毛を振り乱しながら、己の首をグルグルと回している
アスマアスマアスマアスマ······
オマ·····エ······
アスマヲ···ドコニ···········
カクシタノダ·· コロスコロスコロスコロスッッ
次の瞬間、呪いの日本人形は露天風呂の石畳を蹴り、飛び上がった。
そしてその勢いそのままに私の顔に張り付いたのだった
ガシッッッ!!!
ギリギリギリギリッッ!!!
ウツリタイ-····· ウツリタイウツリタイウツリタイウツリタイ
コロスノミッッッッ!!!!
アスマさんがいない事に腹を立てた日本人形は自分の髪の毛を凄まじい勢いで伸ばし始めた
そして伸びた髪の毛は私の首を絞めるがごとく絡みつく