唯一無二の存在

エピソード文字数 3,732文字








            12月23日(日)


                        -PM 9時50分-


         《黒猫マート》




···あっ
今日はホールケーキの販売もやってるけど、もう食べた?
あ····、さっきビュッフェに行ってたので、
スイーツなら凄い量を頂きました···
成る程、そう言えばアスマ君はスイーツ男子だったね!
(アスマさんのスイーツ男子っぷりは有名なようですね···)
じゃあ、平凡な一軒家だけど上がってて!
軽く店に顔出してくるから~
お···邪魔します···
お邪魔します~







                        ··まだ若いのに



                一軒家を持っているとか··


                  流石は店長さんだよな~





                          しかも··これは


                                   新築だ··!





                   男のロマンである新築··


        羨ましい~!! 






陵さん、モテるんだろうなぁ~····
どうしてそう思うのですか?
だってさ、新築だよ!?まだ若いのに!
っ!!!
容姿も良くて、店長さんで、性格も優しくて、一軒家持ってるとか···
男として、憧れずにはいられないよ?!
····ふん、当然だ····佐助だぞ?
わっ!!

黒鉄···、いつからそこにいたんだよ···

ずっと居ましたよ?
なっ!
そんなに誉められたのは初めてだよ?アスマくん
ぅわっ!
お待たせ!

珈琲入れてきたよ~

黒鉄も珈琲飲むかい?
えっ?!いくらなんでも舌を火傷してしまいますよ?!
···········
猫って猫舌なんじゃないんですか···?
····珈琲を飲むときは、人の姿になるだけだ··佐助の珈琲は旨いからな··
(そこまでしてでも飲むのですね···)
(人の姿にもなれるのかよ····、てか猫が珈琲って)
さて、それじゃあ····何から話そうかなぁ
······ふん、大した事ではない··
···俺と、黒鉄の出会いは····ずーーーっと昔昔の事なんだけどね
え····?

どういう事ですか?

(陵さんはまだ若い···よね?)
····陵さんが子供の頃って事ですか?
もっと前だ
····っえ?!
っ?!
俺は、見ての通り35歳だけど、黒鉄の年齢は約630歳だよっ
····ね、猫又って長生きなんですね··
もしかして····、元々は普通のニャンコだったのですか···?
········
····うん

630年前まではね···

り、陵さんは····?
俺にはね、630年前の記憶があるんだ···
っ!!!!!
正しくは、黒鉄を認識したことで、記憶が甦ったって所かな··
そんな事があるんですか···
(何かを切っ掛けに、前世の記憶が戻ると言う話は、確かに聞いたことがあります···)
······················
····黒鉄が、猫又になってしまったのは···俺のせいでね···
佐助····、それはもう良いと言っているだろう···
いやぁ·····、本当に可哀想な事をしたと思ってる···
············
···黒鉄は、元々何も知らない普通の猫で、とにかく人懐っこかったんだけど···
それが仇となって、人に酷いこともされてた···
··········
俺が黒鉄と出会ったのは、黒鉄が木にくくりつけられている時で···
そんな酷いことを····っ
····そう言う人もいるんだよね

今も昔も変わらない

そして、その時代はとても治安が悪くて、世の中は戦だらけでね
辻斬りも流行っていたんだ···
なんと······
····木にくくりつけられている黒鉄を見付けて俺はそれを解いたんだけど···
あれほど人に酷いことをされても尚、黒鉄は俺にくっついて離れなくて
···········
か、可愛いですねぇ···
もう、可愛いし可愛いし可愛いから飼うしかないでしょ?
(····親バカって言うのかな?)
当時俺は、蕎麦屋で蕎麦打ちの仕事しながら長屋に住んでてさ
(···そんなに鮮明に覚えているものなのですね)
··············
長屋の隣人のお松さんが、うるさかったけど、ガン無視して黒鉄と一緒に暮らしたよ
(長屋って、仕切って沢山の世帯が住めるようになってる細長い建物だっけ)
戦は益々酷くなる一方だったんだけど···
それでも俺と黒鉄は、幸せに暮らしてたんだ
···········
·····少なくとも、出会ってから4年はね··
4年····後に、何があったのですか?
·············
···················
俺はその日、いつものように仕事に行ってたんだけど、
たまたま客入りが多くて、なかなか帰れない状況だったんだ····


















           - 630年前 -


           《蕎麦屋》




ふー···、今日は客が切れねえなぁ
佐助さん、もう外は真っ暗だからね、帰りは気を付けて行くんだよ
ああ、女将さん

分かってるよ

(早く帰らねえと、黒鉄が腹を空かせて待ってるな)
戦は終盤とは言え、まだまだ物騒な世の中だね····
それじゃあ女将さん、今日の分に間に合いそうなくらいの蕎麦は打っておいたから、
悪ぃが、先に上がらせてもらうよ?
可愛い黒鉄が待ってんだっ
はいはい、構やしないよ

ご苦労様

(全く···、あれじゃあ嫁も来やしないねぇ)



































                               -次の日-


         《長屋》





ちょいとお松さんっ!!
何だい····朝っぱらからうるさいねぇ?
あんたの隣の佐助さんっ!!

昨日から帰ってないんだよ!!

っ!!!

何だって?!

最近また辻斬りがあったって話だし···
心配だねぇ···
佐助さん···































ニャァ····




           ガラッ




っ!!!!!!
ニャアーーーーーーー!

(佐助っ?!)

おや?
ニャッ····  ニャァ······

(違うんかい···)

何だい?佐助さんは黒鉄を置いて何処に行っちまったんだい···
蕎麦屋にも来てなくてね····

黒鉄、知らないかい?

···········ニャニャ
黒鉄····、腹減ったろ?

何か作ってやろうか····

·············








         ダッッッ





あっ!!

黒鉄っ、何処行くんだい······っ!!!

黒鉄········











       - 三時間後 -


       《裏参道》















          タッタッタ-····




ニャアーーーーッッッ

(佐助ーーっ!)

ニャーーーーーーーー!!!

(佐助どこーーーーっ!)







      キョロキョロ-···   













        ヒクヒク-···  クンクン···




っ!!!!!!






       ダッッッ!!!





ニャアアアーーーーーーーー!!!!

(見付けたっ!)

···············
ニャーーーーーーーー!!!!

(佐助っ!佐助っ!!)

ニャーーーーーーーー!!!!

(起きろ佐助ーーー!!)

················
······ん?

何だ?騒がしいと思ったら···猫か?

··············えっ?!
···················
うわぁぁぁーーーーーっ!!!
ひっ、人が····死んでるっ!!!
たっ、大変だぁっ!!
ニャァァ·····

(起きない····)

ニャァ-··

(佐助····)

·····
···················














         《長屋》

佐助さんまで·······

そんな·····っ!

遺体が戻ってきただけでも·····

ましな方だよお松さん····












        スタスタスタ











         ガラッ





邪魔するよ····っ!
っ!!!

女将さん····っ

黒鉄·····、
ニャ····
飯、食べな····?
···········
····あんたまで死んじまうよ····っ
····················
黒鉄、佐助さんの遺体だってね···ずっとここに置いとく訳には行かないんだよ···
ニャ·····
一体何だってこんな事に····っ!
····辻斬りなんてのはね、刀が斬れるかどうかを確かめたいだけなんだ····
そんな事の為に、関係ない人間を斬るなんて···!あんまりじゃないか···っ!
····それがこの時代の性(さが)さ···
····佐助さんの····、遺体はどうするんだい···?
うちの裏山にでも墓を立てるよ···
佐助さんは家族も同然だからね··
そうかい·····
·····ついで···なんだけどね····
······黒鉄かい?
あぁ·····、引き取っちゃくれないか?
ああ、構わないよ··
















         - 三日後 -


         《裏山》



さあて····無事に埋葬も済んだし、お経もあげてもらったから
佐助さんも本望だろう···
ニャァ-····
黒鉄······気が済んだら、いつでもうちの蕎麦屋においでな····
·················














         その後







     黒鉄がうちに来ることは無かった









          あのまま····


    佐助さんの墓の前でうずくまったまま









      いつしか黒鉄もまた····






   
















             死んでいた····

 





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登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。一応彼女がいるらしい。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

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