第四十四話 櫻井家
文字数 1,779文字
－PM 2時20分－
《瑞禪寺境内－櫻井家》
あっ、あの！
ん？
初めまして、伊吹遊馬と申します···
本日はお世話になります
成る程、きみがアスマ君か···
俺の名前は櫻井 梗(さくらいきょう)だ、遠い所良くきた
ワガママで面倒な妹が世話になっているな
あ、兄に言われたくは無いです···っ！
それから·····
(し、シカトっ！？)
お前は猫又だな？
···わしはただの通りすがりの猫だ
面白い事を言う猫又だな···
だが、あまり手合わせはしたくねえ百鬼だ
ふん、手合わせなど···面倒くさい
お兄ちゃん、黒鉄さんに失礼な事を言わないでよ？！
なーんも言ってねーだろ？
まぁいいや、寒いしさっさと中に入りな
《瑞禪寺櫻井家－客間》
レンーっ！！
お帰りなさいっ！！
お母さんっ！！
ただいまぁー！
あらっ！
貴方がアスマ君ねぇ！素敵な方じゃないのー！
えっ？！
はっ、初めまして、伊吹遊馬ですっ
宜しくねぇアスマ君！
レンも隅に置けないわねぇっ！
えっ？！
そ、そんなんではありま···
あらっ？！
可愛い猫ちゃん！！一緒に連れてきたの？！
(相変わらず話を聞かない家族です····)
っ？！！
そいつは普通の猫じゃないから、あまりベタベタしてやんなよ？母さん
それはちょっと聞けない相談ねぇ～っ！だって可愛いすぎー！
じりじり－···
····っく
さあ諦めて、お母さんに抱っこされなさいっ！
ちょっとお母さん！
黒鉄さんを困らせてないで、お昼ご飯にしましょうよっ
あらっ！あらあらあら
そうだったわね！アスマ君もお腹減ったでしょう？
は、はい····
お昼ご飯、沢山作ってあんた達を待ってたのよー！遠慮しないでいっぱい食べてね！
俺は先に食ったし、これから地鎮祭に行かなきゃならねえから飯食ったら少し休んでな
分かりました···
夕方には戻るから、その時に見てやるよ
よ、宜しくお願いします！
ガラ－·· パタン
お兄ちゃん本当は、１時から地鎮祭の予定だったんだけど、あんた達を待っててくれたのよ？
えっ？！
もしかして、それで外に居たのですか？！
まあ···ユーザーさんがうちの寺の檀家さんだったし、時間をずらしてもらえたんだけど
ずーっと外でウロウロしてたわよ
そ、そうでしたか···
優しいお兄さんなんだね
···そうですね
－PM 3時15分－
《櫻井家－客間》
ご馳走様でした！
ご馳走様でした！
久々のお母さんの手料理は本当に美味しかった！
それは良かったわ～！
夕御飯も腕を振るっちゃうからね！
あっ、
因みに、今日アスマさんを客間に泊めても大丈夫ですか？
勿論よ！
客間は沢山あるけど、一応あんたの部屋の隣に用意をしておいたわ
隣にですか？
ここは、人も百鬼も自由に入れるように結界を張っていないからね
·········
この場所には、何者にも制限をかけないのが慶長様のご意志でしょ？
じゃないと、ヨーコも来れないし
は、はい！
だから、もしアスマ君に何かあったらあんたが守りなさいよ？
分かりましたっ！
よし、それじゃ長旅で疲れただろうし、お兄ちゃんが帰ってくるまでユックリ休んでなさい
··················
《櫻井家－客間》
アスマさん、疲れましたか？
ん？大丈夫だよ
どした？
少し、お散歩しませんか？
うん！
ｽｰ···· ｽｰ····
《瑞禪寺境内－本堂》
ホントに広い境内だね···
はい、毎日住んでいると自分の生活圏内でしか動かなくなります
お寺の方はお父さんの管轄ですし、宮の方はお兄ちゃんの管轄ですからね
あ、そう言えば···
お父さんは？
あ、お父さんなら今日は檀家さんの所へ拝みに行っているようです
そっか···、皆忙しいんだね
たまたまですよ
············
アスマさん、
え？
お兄ちゃんは色々と問題がありますが、術師としては天才です··
っ！！！
きっと、アスマさんの体質の原因も浮き彫りになるのではないかと思っています
うん···！
その、原因がどのような理由であったとしても、此れからも独りでは悩みませんよう···
そうだね···
こんな頼りのない私ではありますが、いつでも側にいますので···
っ！！！
それだけは忘れないで···
うん、有り難うレン···
それでは、一足先に祈祷殿へ行っておきましょう
俺の体質の原因···
その先の事を考えたことなど無かった
レンの言う通り、もっと最悪な事態になることがあるかもしれない
だとしても先に進むしか無いんだ···
