第三十三話 人と百鬼の契約
文字数 1,695文字
１月３日(木)
－PM 12時15分－
《黒猫マート》
おや？
こんにちわ～
いらっしゃい！
今日は、レンちゃん１人かい？
はい
お雑煮の材料を切らしてしまって···
それに····
········？
どうかした····？
···黒鉄さんは···いらっしゃいますか··？
黒鉄なら家で昼寝してると思うけど···
···そうですか
····呼んでこようか？
·············
···お願い···します··
じゃあ、買い物して待ってて～
－PM 12時30分－
《黒猫マート》
·················
あ····っ、黒鉄さん····！
·····話があると····言っていたな
···ここでは、他のお客さんも来てしまいますので、七幡宮へ参りませんか？
········
···黒鉄、たまには可愛い女の子とデートもいいんじゃない？
·····わしは人の子に興味などないが、まぁ良かろう
有り難うございます····
あ、ついでに買い忘れた熊手買ってきて～
··········
わ、私が買ってきます！
－PM 1時05分－
《七幡宮－境内》
····まだお正月ですから、神社は今でも賑わっておりますね
····ふん、人と言う生き物はまるで解せん···、何かにつけて神頼みをする···
····そうですね、神様って私達にとって心の拠り所なのでしょう
····················
大晦日の····
あの時間に、この場で凄まじい気配を感じた···
っ！！
あの気配は··、九尾の気配だな？
貴様を守る為に現れたのか？
わ····っ、私は····
····私は落ちこぼれなんです··
あの時··百鬼の大群に囲まれ、成す術もなく
喰われる寸前に、ヨーコちゃんに救われました
···こんな程度で、アスマさんを守ろうなんて····身の程知らずだったのです
····それで、貴様は自らが選んだ道を放棄すると言うのか？
っ！！！！！
そんなこと·······っ！！！！
そんなことは·····、絶対にしません·····
··············
ですが、私の力では限界があります···それで··
····ふん
·····わしに交渉を持ち掛ける気か？
···はい
··········
私は、アスマさんを助けたい···
どうしても····
··················
ならば······、貴様は何を差し出す？
·····本当なら、私ごとき命で宜しければ差し出したい····所ではありますが
今ではそれも叶いません···
私は、アスマさんの為に生きていたい
クックッ···、実に人とは身勝手なものだ
···ですので、代わりに···私の体の一部で欲しい箇所がありましたら···
お持ち頂いても構いません···
····それは、お前の両の目や四肢でも構わぬと言うのか？
······ええ、勿論です
·······そうか、ならば·····
レンっ！！！！
え····っ？！
··っ何を···してんだよ···？
··········
佐助··、デートをしてこいと言ったのはお前なはずだ··何故邪魔をする
俺？別に邪魔しに来た訳じゃないよ～
やっぱ熊手くらい自分で買わないとね！
·····················
アスマ君とは、その途中でたまたま会っただけだし？
アスマさん·····
レン、説明してくれ！
···すみません、こんな勝手な事をして
俺は、今レンが何をしようとしているのか··まだ理解していないんだけど··
········
···きっとまた、自分が犠牲になろうとしてんじゃないのか？
····アスマ、レンは貴様を守ることだけを念頭に置いて行動している
黒鉄さん···っ
だったら尚更俺に相談してくれればいいだろ？
貴様なんぞに相談した所で話など進まぬと分かっているからこそ、１人でわしの元へ来たのだ
く、黒鉄は···黙っててくれ···！
黒鉄さん···、有り難うございます
········
そして··アスマさん、申し訳ありませんでした
いつも言うけどさ、謝って欲しい訳じゃなくて···説明して欲しいんだ
はい···
俺はこの時、冷静ではいられなかった
またレンが俺の為に犠牲になろうとしているのが分かっていたから····
