第九話 何でだろう、気になるな

文字数 3,755文字






-PM 12時20分-



     《銀河通り》



ほ、本性を現しましたねっ!!!
ヒカリ····っ!!
ヒヒヒヒヒヒヒ·····ッ  

···アスマ~··· オ前ハ·· 一生ソウヤッテ 百鬼ニ狙ワレ イツカハ死ヌ運命ナノダ···

ナラバ···· 1度デモ好イタ娘ニ殺サレル方ガ本望ダロゥ?
っ!!!!!
······勝手な事を···っ!!!
貴方ごときが、アスマさんの運命を語ることなど·······っ
許されませんよっ!!!!
フン····· 小娘ガ··· 貴様ハ何ダ?

邪魔ヲスルナラバ 先ニ貴様カラダ····ッ!

っ上等です!

蹴散らしてやりましょう!

レン·····っ!
式神よ····っ!!!我が名の元にっ!!!
っ!!!!?
·····っ!!




レンは、また十二天将?を召喚しようとしている。今度はどうするつもりなんだろう··




空気がビリビリと振動しているのが分かる。今度も脅威的なモノが出てくるのか···?





出でよっ!!!!

六合(りくごう)っ!!!!

    








     ッッッポンッッッ!!






っ!!!!
・・・・・・・・・・・
(な、何だあれは········)
(太ったデカイヒヨコ···が出てきたぞ···!)
さあっ!六合っ、やっちゃいなさい!!
ぴゃーぴゃーっっ!!





       パタパタパタパタ-····




必死で飛んでいる····
ッッッ!!!
ナッ 何ダ コイツハ······ッッ!!!
クッ 来ルナ-····っ!!!




       ぎゅむぅっ




         ドスンッッッ!!!




グェッッッ



必死でパタパタと飛んでいたデカいヒヨコは何故かヒカリの背中を足蹴にして、そのままヒカリの上に乗っかった··




(完全に押し潰されているな····)
········
(レンは冷めた目で静観しているぞ···、こ、怖い···)
ぴゃーぴゃーっ!!ぴゃーぴゃーっ!!

ぴゃーぴゃーっ!!ぴゃーぴゃーっ!!

っ!!!!!!
ググァアァァァッッッ

ナッ····何ダコイツハァアァァァァ!!!!

六合は、人を守り和合させてくれる優しい式鬼(しき)です
貴方の様に、ヒカリさんの心を弄んで苦しめるような輩は····
和合されて悪さをしない百鬼になる必要がありますね
(ただ、百鬼を祓うだけじゃないのか····)
ウウゥゥゥ······ ァアアァァ···· イ、イヤダァ·····
················
うぅぅ····





     シュウウゥゥゥゥゥー·······




ふぅ···

(割と簡単な百鬼で良かったけど、情況的に面倒でした···)

(···朝から疲れたな)
·····ハッ
こ、ここは····?
ヒ、ヒカリっ!!
アスマ·····
何があったか覚えてるか?
あ···、うん·····

ごめんなさい····私···

また····、酷い事ばかり言ってたね···
いや··、俺の方こそごめん··
私····、アスマの気持ちは分かっていたつもりだったんだけど···
何でか気持ちを抑えられなくなってて···
もう、大丈夫だから····
うん····
数珠も無理矢理取っちゃって···、ご免なさい····大切な物なんでしょう?
うん···、凄く大切な物なんだ
·············
···アスマの気持ちは良く分かった

もう、我が儘は言わないわ

ごめん····
·····心配しなくても大丈夫よ····

私の気持ちもスッキリしてるから

········
あの···
へっ?!
色々と迷惑をかけて···ご免なさい
いっ、いえいえいえっ!

私の事など、お気になさらず····っ

何だか良くわからないんだけど····有り難う··
············
アスマさん···
ん?
今日はこのまま、ヒカリさんを送って行ってあげて下さい
え··っ

でも、それじゃあ···

私の事など、

気にする必要はありませんよ

百鬼に憑依されるのは、かなり体に負担がかかりますから
念のためです
··········
わ、分かった···

それじゃあ、せめて連絡先だけは教えてくれないかな···?

あぁ····、そうですね



そうしてその後··


私は1人で買い物の続きをしてから帰る事にした。


迷子になりながらですが···


 




······
まぁ、アスマさんにはアスマさんの生活がありますよね···。
···私は、アスマさんのことなど何も知らないのだから仕方がない
······
でも··· 

何でだろう、気になるなぁ··

·······

いや···、やめよう

気にするだけ無意味ですね













-PM 5時30分-


   《レン自宅》




 ~♪~♪♪~

♪~♪♪♪~♪♪~


··········

 ··········



···う···ん·····
········電話·····?




あの後···、私は迷子になりながらもようやく家に到着した


かなり歩きまくってクタクタだったため、帰宅して直ぐに泥のように眠っていたのだ



そんな遠退く意識の中、電話が鳴っていたような気がする···





····まだ眠いな
って、もうこんな時間か··

寝すぎてしまった

···電話は誰からだろ····?




と、思ってスマホを手に取った瞬間にまた電話がかかってきた




その相手は··





もしもし·····、レン?
あ···っ、はい····
あっ、ごめん

もしかして寝てた?!

ええ··まぁ、少しだけ仮眠を····
ご、ごめんっ 起こした···かな?
大丈夫ですよ。もうこんな時間ですから····
···そっか
········
···あ、あのさ
はい····


何だろう··

何だかドキドキする··


この感情がイマイチよく分らない




今日は····その、ごめんな···
·····何がですか?
えっ?! えっと··、本当は、レンにちゃんとお礼がしたかったんだけど
とんでもない状況に巻き込んでしまった上に···、また助けてくれて··
お礼···、なんてそんな必要はありません····
今日の事も大した事ではないですよ、

私がアスマさんを助けるのは当然ですから

····えっ
それに、これからはもうそれが当たり前な事になりますので···
何度も言いますが、私の事など気にする必要はないのです
·················
何で····、それが当たり前の事だと思えるんだ····?
····え·······?
·········
ご迷惑でしたか·····?
そう言う事じゃ····なくて··
···俺からしたら、そりゃ···凄く有り難い話だし···
理解してくれる人が側に居てくれる事の安心感は···半端ないよ
·····では、何か不安な事があるのですか?
不安····って言うか···
··そこまでしてくれる子を、俺は全く気にしないで生活しろって言うのか?
····えっ?!
えっ····て····
レンは俺の為に犠牲になってるって思わないの?
···そんな事··、考えもしませんでした··
·········
····こ、困っている人を助けるのは、おかしなことでしょうか
っ!!!!
そ、それって··さ、

レンは困っている人がいたら誰にでもここまでするのか?

···え?

誰にでもって言う訳では··

じゃあ何で俺にここまでするんだよ?
それは···、自分にもよく分からなくて···、やっぱり理由が必要でしょうか?
····っっ!!
あ···、いや

ゴメン···、俺は別に理由づけなんて必要だったわけじゃなくて···

·······
レンはさ、もう少し自分を優先したり大事にしても良いんじゃないかなって···思ってさ
は、はい···
········
それでも、レンが俺の側に居てくれるって言うなら、俺もレンの為に側に居られるようにするよ···
···って言っても、俺に出来ること何てあんま無いかもしれないけど
っ!!!
····
は、はい···
···あ、でも
えっ?
ヒカリさんが·····
···私はお2人の邪魔をする気は微塵もありませんので···
あー····、ヒカリとは···あの後ハッキリと別れたよ·····
遅かれ早かれって感じだったし···
っ!!
····っでも、だからって勘違いされたくないんだけど···
たまたまタイミングがそうだっただけで···
ヒカリと別れたから、レンに側に居てもらいたい訳じゃないから····
····分かっています
····私も、弁(わきま)えて接するようにしますので····
(··そう言う意味じゃないんだけどな)
取り敢えず···
明日からですが、昼間は数珠があれば問題は無いかと思いますが
夜は気を付けて下さい····

私もすぐに伺えるとも限りませんので··

あ·····、うん··
何かあった場合は、直ぐに電話してくださいね
····分かった
····それでは、また····
うん、またね··
       



こうして、電話は終了した





ふぅ····
·····何で··· ··か···
·········
ご飯作ろぅ····












         -PM 6時05分-




···············
····レンは、一体何者なんだろう
····昨日は、本当にたまたま出会っただけだったのに··
·················
考えた所で····、分かるわけも無く····
················
····飯、買いに行くか



··長いようで短い1日半が終了した··


結局の所、レンが何処に住んでて何処の専門学校に通っているのかも分からないまま、俺達の奇妙な関係は確約された




まだまだ謎に包まれた彼女に、

俺はますます惹かれて行くのを今はまだ知らない··





ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。··最近彼女にフラれた。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色