帰路
文字数 2,050文字
3月17日(日)
－AM 7時15分－
《瑞禪寺－客間》
ﾁｭﾝﾁｭﾝ ﾁｭﾝﾁｭﾝ···
う～ん···
····朝、ですか··
(超眠い···)
うぅ···
あ、アスマさん··
お早うございます
···お早うレン
眠いでしょう？もう少し寝ていても良いですよ？
いや、大丈夫だよ
午前中には帰らないと新幹線に間に合わないだろ？
··はい、そうなんですけど··
ごめんね、レン··
な、何がですか？！
折角、実家に帰ってきたのにユックリもさせてあげられなくて··
·····っ！
··問題ありません
今回はアスマさんの為だけに来たのですから
それが、申し訳なくて
本当に大丈夫ですよ！
さあ、お顔を洗って朝ごはんを食べに参りましょう！
うん···
《櫻井家－茶の間》
二人ともお早う～っ
お早うございますっ
お早うございます
昨夜は何も無かったか？
···えっ？！
な、何も···とは？
何か出たみたいですけど···
で？
あ···、レンが来てくれたので特に何も起こらずでした
そうか····
まさか···、また使い魔で覗いていた訳じゃないですよね？
···俺だってな、流石にそこまで無粋じゃねえ
だが、俺にとってレンは年の離れた可愛い妹だ、それだけは忘れるなよ？
はっ、はい！
··········
キョウ、あまりプレッシャーをかけるもんじゃない
あら、あなたっ
っ！！！
お、お早うございます！
お早うアスマ君
昨日は顔を出せずにすまなかったね
いえ···、いつもレンさんにはお世話になっています
此方こそ、レンが世話になっているな
お父さんっ
レン、また改めてユックリ帰っておいで
うん··
ところでレン···
はい
法願寺の露天風呂の件なんだがな···
ｷﾞｸｯ
(粉砕した和尚の露天風呂か····)
いくらかかったと思う？
ふふふ
そ、想像もつきません···
本当にごめんなさい
まあ、アスマ君を助ける為とは言え、もう少しやり方を考えるようにしなさい
は、はい···
ほらほら、朝御飯が冷めちゃうよ
うーん、やっぱり掌慶はイケメンねー！慶長様に似てるし！
···そうか？
兄は自分以外を認めないのです
········
(イケメン家系か···)
それじゃあ、私は勤行に戻るから··帰るときは気を付けて帰りなさい
はい、有り難うございます
··レンが遠い場所で独り暮らしをしていても、アスマ君がいるなら安心だな
っ！！
っ！！
(私もいるんだけど～？)
お姉ちゃんもいるわよ～っ
(お姉ちゃんいますね···)
此れからも、娘を宜しく頼むよ
···何て事を言うんだよ父さん
キョウは過保護すぎるんだよ、レンだっていつかは嫁に行くんだから
嫁っ？！
嫁っ？！
·········
はははっ、それじゃあね
そう言って、レンのお父さんは
去って行った···
でも···本当に優しいお父さんだったな
少し羨ましくなってしまった
－AM11時15分－
《瑞禪寺－櫻井家》
それじゃあ、また来るから元気でね
レン～、もう帰っちゃうのね···
····春の桜祭にやる巫女神楽はどーすんだ？
それはちょっと厳しくないですか？！スーパームーンもありますから！
ってか、代わりはいるじゃないですか···
あ？代わりだと？
兄の巫女ちゃんですよっ！！
···········
あ～···、あれとは先月別れたからな
···もう少し、続ける努力をしたら良いです
(色々ありますよね···)
··なにをモタモタしておるのだ？
バスが来るぞ
あわわっ、それじゃあまたねっ！
気を付けてねぇっ！
お姉ちゃんにも帰るように伝えて！
あっ、うん！
キョウさん、色々と有り難うございました！
ああ···、困ったことがあったらいつでも連絡しな
はいっ、お世話になりました！
－PM 12時30分－
《瑞禪寺－客間》
さぁて、客間のお掃除を·····って
あら？
···何故かアスマ君の客間にレンのお布団まであるわ
まあ、あの感じだと進展はなさそうだけどね～
頑張れ若者よ！
－PM 4時44分－
《二つ神駅》
ふー··、やっと着いたな
お疲れ様でした··
お疲れ様
レンも疲れたろ···、今日は早めに寝よ
はい···、今回は取り敢えずアスマさんの体質の謎が分かっただけでも良かったです
そうだね···、色々有り難う
いつも迷惑ばかりかけてゴメンな··
いえ···、次は呪いの元凶に抗う術(すべ)を見出ださなければなりませんね
うん····
それでは、今日もアパートの前までご一緒致します
わしは、このまま佐助の元へ帰るぞ
黒鉄も、有り難う···
ふん、全ては此れから始まるのだ
覚悟を決めておけアスマ
ああ···
さあ、帰りましょう
そして
この後またしても、俺のせいで
レンにあんな事が起きるなんて
この時はまだ知るよしもなく···
背中の違和感すら忘れる程に
朝まで深い眠りについていた···
