第二話 櫻井 蓮

文字数 2,436文字






 ーPM 5時55分ー






カタンカタンー····カタンカタンー····

カタンカタンー····





····あの
ん?
此れから····、と言いますか···もう既になんですが···
??
夕暮れ時から夜中にかけては····、百鬼夜行が行われていると言います

百鬼·····なんだって?

                    




俺達は今、電車に揺られて レンの知り合いの寺に向かっている ・・・  

どうやら、そこでレンの言う


「御守り」を作ってもらうらしい






·····百鬼夜行です
·············

···それは、一体何なの?

···先程の、駅にいた地縛霊も「百鬼」と呼びますが···
妖怪、怨霊、妖魔の類いが夜の街を練り歩く様を百鬼夜行と言います
(···練り歩く)
ですので、今の時間帯にアスマさんが出歩くと言うのは、とてもリスクが高いのですが····
····確かに今までの経験上、夜に出歩く程ヤバい事はなかったな···
夕暮れ時から夜中にかけては、百鬼達の力も増していま···
·········?
···レン?





··········タィ····




?!




喰イ··タィ············イイイ



アスマさんっ!
えっ?!
私の後ろへ下がって下さいっ!


···············


·······アァァ··ス···マァ·····


·····


まっ···また··っ

ヤツらが来る····っ!





··そう

思った次の瞬間、俺とレンの目の前には耳まで口の裂けたバカでかい顔面が浮き上がっていた···っ!






!!!!!!
!!!!!!





 その気味の悪い顔面はニヤニヤしながら口を開き始めている





(くっ、口が開く···っ!!!!)



    

俺の前には レンが立ちはだかっていた。


このままだとレンが喰われちまうぞ···っ






····················

式神よ······ 我が名の元に········っ!



気づくと人喰い顔面の口は最大限にまで、ガパッと開かれていた


そのデカさは俺とレンの頭が余裕で入る程で

ギザギザの不揃いな牙がさらけ出されている··


··俺のせいでレンまでもが犠牲になってしまう··っ!


··それだけは・・・








と、思ったその時だった


っ出でよっ!!

騰蛇(とうだ)っ!!!!!

···········っ?!!
キシャァァアアァァァァッッッッ!!!!
うわあっ!!!?

                             


こ、今度は何だよ?!





落ち着いて自分の周りを見渡してみると、そこには鱗を赤くギラギラと光らせながら俺達を囲うように浮遊している生物がいた


これは···

どう見ても蛇だ···、それも真っ赤な大蛇··。

背中には羽··?が生えており、メラメラと燃えるような炎を纏っている




結界っ!

唵(オン)!!

わわっっ!

       


レンの一声で、俺とレンの回りに炎が渦巻いて壁になり始めた



 ··不思議と熱くはないがあの蛇の能力なのか··?

人喰い顔面がたじろいでいる




騰蛇っ!!

その生首、丸飲みしちゃって下さいっ!

グァルルルー······

キシャァァアアァァァァッッッッ!!

グワァァッッッッ


バクンッッッ!!!!!

っ?!!!!


真っ赤な大蛇は、人喰い顔面よりも遥かにデカイ口を開けてそのまま丸飲みにしてしまった―――――



·····ゾオォォ~····



てか、何なんだ今の···っ?!



····ふぅ

とても、危なかったです··ね···

·························っ
あ·····っ、えぇっと·····
わ、私は···、その····
今の赤い蛇は、レンが出したのか··?
っ!!
は、はい····

気味の悪い物をお見せしてしまい··

申し訳ありません····

っ?!

そ、そんな風には思ってないから!

ただ···、レンが何者なのかは···知りたいなって思って··
あ···、はい···そうですね··

私は····、いや···私の家柄がですね···

平安時代からのお祓い家業をしておりまして···
お祓いっ?!
えぇ··· それで···、何故か昔から生まれてくる子供達の殆どが···
極度な霊感体質らしくて·····
っ!!!!
私も····、その内の1人なのですが····
そ、それで··· 私達は自分の身を守るために、小さい頃から修行と言う名の訓練をさせられているのです···
訓練······?
先ずは、先程の赤い蛇ですが····
あの子の名前は騰蛇(とうだ)と言いますが、アレもまた百鬼です··
騰蛇は上級百鬼であり、私達が従える十二天将のうちの1人なんです··
·······················



もはや何が何なのか分からなくなってきたぞ··


今、俺の頭で理解出来たのはレンの家柄が祓い屋で、身を守る術(すべ)もあるって事くらい··




えぇっと·····

取り敢えずですね、彼らを従える為の訓練をしている、と言うことです··

そ、そうか、大体は把握したよ··





··この櫻井蓮、と言う子の素性はまだ良く分からないが··



··あの時の駅で握られた手の温もりと、慈善事業で俺を救おうとしている(と、思う)

 事を考えると··、疑うべき相手ではないのは明確だ··


事実・・・

たった今、体を張って俺を守ろうとしてくれたのだから··




小さいのに··



·····そ、そろそろ到着する頃です··




~~♪♪~♪♪♪♪~~


次は、法願寺~、法願寺~

お出口は左側です··





法願寺····




あの人喰い顔面事件から程無くして、目的地に着いた


そう言えばあの電車··、俺達以外に誰も乗ってなかったような···


············

そんなことってあるか··?昔からそうだが自分の見ているモノが全て現実なのかどうかも分からなくなる··

それがどれ程恐ろしいものか、他人には理解のしがたい所だろう··

と、今までは、ずっとそう感じていた


今回レンに出会うまでは···



··確かにレンはちょっと変わっているが・・・

でも何だろう・・・?この今まで感じた事のない安心感は



俺は、いつの間にかレンに対する興味が湧いている事にこの時点では

全く気づいていなかった··





ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。··最近彼女にフラれた。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色