第二話 櫻井 蓮
文字数 2,436文字
ーPM 5時55分ー
カタンカタンー····カタンカタンー····
カタンカタンー····
俺達は今、電車に揺られて レンの知り合いの寺に向かっている ・・・
どうやら、そこでレンの言う
「御守り」を作ってもらうらしい
喰イ··タィ············イイイ
·······アァァ··ス···マァ·····
·····
··そう
思った次の瞬間、俺とレンの目の前には耳まで口の裂けたバカでかい顔面が浮き上がっていた···っ!
その気味の悪い顔面はニヤニヤしながら口を開き始めている
俺の前には レンが立ちはだかっていた。
このままだとレンが喰われちまうぞ···っ
気づくと人喰い顔面の口は最大限にまで、ガパッと開かれていた
そのデカさは俺とレンの頭が余裕で入る程で
ギザギザの不揃いな牙がさらけ出されている··
··俺のせいでレンまでもが犠牲になってしまう··っ!
··それだけは・・・
と、思ったその時だった
こ、今度は何だよ?!
落ち着いて自分の周りを見渡してみると、そこには鱗を赤くギラギラと光らせながら俺達を囲うように浮遊している生物がいた
これは···
どう見ても蛇だ···、それも真っ赤な大蛇··。
背中には羽··?が生えており、メラメラと燃えるような炎を纏っている
レンの一声で、俺とレンの回りに炎が渦巻いて壁になり始めた
··不思議と熱くはないがあの蛇の能力なのか··?
人喰い顔面がたじろいでいる
キシャァァアアァァァァッッッッ!!
バクンッッッ!!!!!
真っ赤な大蛇は、人喰い顔面よりも遥かにデカイ口を開けてそのまま丸飲みにしてしまった―――――
てか、何なんだ今の···っ?!
もはや何が何なのか分からなくなってきたぞ··
今、俺の頭で理解出来たのはレンの家柄が祓い屋で、身を守る術(すべ)もあるって事くらい··
··この櫻井蓮、と言う子の素性はまだ良く分からないが··
··あの時の駅で握られた手の温もりと、慈善事業で俺を救おうとしている(と、思う)
事を考えると··、疑うべき相手ではないのは明確だ··
事実・・・
たった今、体を張って俺を守ろうとしてくれたのだから··
小さいのに··
~~♪♪~♪♪♪♪~~
次は、法願寺~、法願寺~
お出口は左側です··
あの人喰い顔面事件から程無くして、目的地に着いた
そう言えばあの電車··、俺達以外に誰も乗ってなかったような···
············
そんなことってあるか··?昔からそうだが自分の見ているモノが全て現実なのかどうかも分からなくなる··
それがどれ程恐ろしいものか、他人には理解のしがたい所だろう··
と、今までは、ずっとそう感じていた
今回レンに出会うまでは···
··確かにレンはちょっと変わっているが・・・
でも何だろう・・・?この今まで感じた事のない安心感は
俺は、いつの間にかレンに対する興味が湧いている事にこの時点では
全く気づいていなかった··