第二十八話 初詣の怪
文字数 2,689文字
12月31日(月)
-PM11時20分-
《アスマ自宅》
今年はかなり贅沢な年越しだ··
何たってレンがいるからな!
しかも黒毛和牛だったし!
年の最後に一気に運が上昇したぞ··
それって逆に今からが不安になるよな··
取り敢えず、数珠を握りしめながら初詣に行こう···
《アスマ自宅周辺》
七幡宮神社···
この辺では一番デカイ神社なのだが、凄い高台に建っていて神社に着くまでが体力勝負って言う···、ある意味曰く付きの神社だ
何段の石段があるのか分からないが、全部数えると必ず一段増えてるって都市伝説もある
まぁ···、所詮は都市伝説!
増えたから何だって話だ
俺からしたらそのくらい大歓迎だっつーの!
-·····ヒソ
ヒソヒソヒソヒソ-····
アスマ···アスマガオルゾ···
ヒソヒソ-···
ナンテ イイニオイ····
ウマソウ ウマソウ タベタイ タベタイ-···
ヒソヒソ···
12月31日(月)
-PM 11時45分-
《七幡宮-鳥居前》
カップルが手を繋ぐ場合のセオリーって····、やっぱ男から握る··
だよな···?!
いや、カップルじゃないんだけども!
···まぁ、今回はそんな深い意味など持たない手繋ぎだ
うん
遠慮なく行かせてもらおうか
ギュ····
·············
····················
それから暫く登り、ようやく境内が見えてきた
思った以上に石段が多くて年明けに間に合わないんじゃないかと思ったが··何とかなったらしい··
マジキツイぜ····!
そう言って、境内に足を踏み入れたその瞬間····
俺達の背筋は凍った····
そこには沢山の人間の···
半透明な黒い影···と、着物を纏った百鬼と呼べるモノ達の集団が待っていた····
俺達はこっそり引き替えそうかと思ったが、後ろからは続々と百鬼達が登って来ていたため、その隙を縫うことは不可能だった
これは··、一体なんだ?
何が起きているのか全く理解出来ない
そんな時、見えているのか見えていないのか、百鬼共は俺たちをグイグイと前へ前へと押し出そうとしているとしか思えないくらい、どんどん前へ押されていた
ザワザワ··· グイグイッ
ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ
ウオオオオオオオオオオッッッ!!!
ウオオオオオオオオオオオッッッ!!!
ウオオオオオオオオオオオオッッッ!!!
ギギ-····ッ
ギィ--···
···百鬼共の雄叫びに面食らっていると、今度は何がか軋むような音が聞こえてきた――――――