第十四話 北の守護神 玄武

文字数 2,525文字






 -PM  12時45分-


 《老舗丹百貨店》


こ、ここは-·····っ!!!?


俺は―――――

一体どうなってんだ····?


な··、なんでこんなとこに立ってんの··?




あ、アスマさん······っ
レン·······、俺·····
動いてはいけませんっ!
ゆっくりと·····、後ろのフェンスに捕まって下さい·····
·····はぁはぁ····っ


··そう


俺が立っていた場所··

それは··

さっきまで俺達が居たデパートの屋上にあるフェンスの外側だった··



そのまま、動かないで下さいね····
(アスマさんに幻覚を見せていた百鬼····、蜃の気配は今は無いようですね····)
(···でも、フェンスが高すぎてアスマさんを助ける事が出来ない···)
(どうしたら······)
ガタガタ········っ
(急がないと·····っ!)
(ヤバい····、手が痺れてきた····)
(い、意識も····薄れて·······)



グラァッ-····



っっっ!!!!!!!!!
アスマさんっっ!!!!!!!!!!
しっ、式神よ!!!

我が名の元に!!!!!

出でよっっ

玄武!!!!!!




ヒューーー······ッッ

キシャアアァァァーーーーー!!!




玄武っ!!!!

急いでアスマさんを助けてっ!!!


ドスンドスンッッ


ヒュッ




(咄嗟(とっさ)に出した十二天将が玄武になってしまった······汗)
(考えが纏まってなくて········、大丈夫かな~····)

 


·············

··俺は···どうなったんだろう··


もしかして··死んだ··?


··妙にふわふわしているわりに 胸から腹にかけてやたら苦しい··




折角レンにも出会えたのに――――


 でも··、これ以上レンに迷惑かけずに済む··か···




シュルルルルルルルル-·····
···························
···························
···························えっ?!



なんだ··これ··

··目の前に 蛇がいる··ぞ··


 ·············

へ、蛇?!


しかも俺の顔より蛇の顔の方がはるかにデカイ!



ちょっ······、ちょっと待て···
シャァァァァァーーーー······
おっ、おお俺は不味いからっ!!
腹の足しにもならないしっ!!


  グイッッッ!!!



うおっっ?!!!


 ···何が何なのかさっぱり分からないまま、いきなり凄い勢いで上に引っ張り上げられた··


吐きそうだぜ··



よく見ると俺の目線の横にデパートのアドバルーンが浮いている··



·······え····っ



 俺は、恐る恐る下を見た――――――



っっ!!!!!??



明らかに宙に浮いている··


いや··


落ち着いて今の状況を確認してみると、俺の体に巻き付いているのはどうやらさっきの 蛇の胴体のようだった


 俺はどうにもこの蛇に助けられているようである··




ど、どうりで胸から腹にかけて苦しいはずだよ·····
·····てか、この蛇 よく見ると屋上のフェンスの内側から伸び出てきている···
これは·····一体·····?



と、その時またしても急に蛇が動き出し、俺をデパートの屋上に連れ戻してくれた··



アスマさんっ!!!!
レ、レン·····
よ、良かった········
良かったぁぁ·········っ!
やっぱり····、レンが助けてくれたんだな····
·······因みに、この巨大な蛇は···



と、言いかけて横を向いた―――――


そこに居たのは···




うわっ!!!!!



超巨大な「亀」、だった


さっきの蛇はその亀に巻き付いているようだ



これ··何なんだ··?

正直、人並み外れた巨大さに圧倒される



あ····、この子も十二天将の1人の
北の守護神であり、水の神獣、玄武と申します
玄武········

た、助けてくれて有り難う····

ヒュー-······

シャァァーーー····

(か、亀と蛇が同時に答えた·······)
アスマさん·····、大丈夫ですか····?

怪我は無いですか?

あっ···、うん大丈夫だよ
(····良かった)
レン···
は、はい····っ
その·····、ごめん
えっ?!何がですか?!
俺、幻覚の中で大切な数珠の存在を忘れてて···
今度こそ妹を助けたい一心で、青い光の壁と数珠を排除しようとしたんだ
あ、危なかったですね···
あの光の壁がなかったら····堕ちて死んでいたのに···
···でも、アスマさんは生きています···

何があっても私が助けます

っ!!
なので····、そんな顔をしなくても良いのです···!
······うん、有り難う··
(アスマさんが見せられた幻覚は、過去に実際起きたトラウマなはず······)
(恐らく、妹さんはまだ小さいうちに百鬼に依って亡くなられている······)
(心を潰されない様に気を付けなくては···)
···何か、また邪魔されちゃったね
えっ?!
デー····、あ、いや······

えーっと··

あ·····、そうですね··
でも····、今日は心身共に疲弊していると思いますので···
お家に戻りましょう····?
うん、そうだね···
お家まで、お送り致します
(·····ホント、男として情けなすぎる)
(これ以上アスマさんを連れ回す訳には行きませんね····)
(結界を張るのは、アスマさんには内緒で夜にやるか····)
(私、方向音痴だけどアスマさん家の経路を覚えないと·····)
····レン
へっ?!
あー、その····結界を張るって言ってたけど·····どうする?
(お、覚えてたっ!)
そ、そうですね····

迷惑でなければ、夜に勝手にやらせて頂きますが···

そ、そんな事させられないよ···っ!
えっ?!

(何故?!)

俺の事なのに、寒い夜に1人でそんな事····
(全く平気なんですが···、気を使って下さっているのですね·····)
····夜に1人で歩かせるのも、ちょっと心配だしな···
うーん····、ですが···アスマさんを休ませないといけませんし····
あ、だったら····、結界を張る時間までうちに居る?
······っえ?!
え?
······························
(俺は何やらまた問題発言をしたようだ····)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。··最近彼女にフラれた。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色