第四十八 悋気(りんき)
文字数 1,792文字
－AM 1時40分－
《瑞禪寺－客間》
ｽﾞﾙ····ｽﾞﾙｽﾞﾙ···
うーん····
モソモソ···
····何だ··？
さっきから変な気配がするな··
ｽﾞﾙｯ··
ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ－····
えっ？！
ｷﾞｸｯｯ
か、髪の毛····？
やっ、ヤバいっ！！
そいつは天井から下がって来た··
顔が見える寸前で俺は電気を付けようと慌てて飛び起きた
っと、その時···
うわっっ
ドサッッッ
痛ってぇっ
布団に引っかけて
スッ転んだ····
は、早く電気を···
ガラッッッ
うおっ？！
な、何事ですかっ？！
アスマさん大丈夫ですか？！
レ、レン·····
カチッ
どうしました？！
レンが電気を付けてくれた時にはさっきの長い髪の毛は既にいなくなっていた····
············
ア、アスマさん···？
あ····、うるさくしてゴメン··
そんな事は気にしなくて良いのです！それよりも一体何があったのですか？
いや··、レンに迷惑かける程の事じゃ無かったんだけど···
·············
·············
あ、あの····
今さらなんですが··
もしかして、私は···迷惑ですか？
えっ！！！
前から思っていましたが、
アスマさんは百鬼に襲われても、私を呼ぶことが···今まで1度もありませんでしたので··
(薄々感じてはいましたが、それもそうですよね····)
(女性に守られたい男性なんていませんよね···)
そ、そんな事は···
············
···ですが
例えそうだったとしても
··········
呪いが解かれるまで私はアスマさんを守り通します
それは出会ったあの日に、決意した事ですので···
その意思を変えるつもりはありません
レ、レン····本当にそんなつもりは···
(ヤバいな····、怒らせたか)
··········
···今夜は、私もこちらで休ませて頂きます
えっ？！
(こうなったら、意地でも守ってやるんだから···)
嫌かもしれませんが···
···レン
···はい
···嫌な訳ないだろ？
っ！！！！？
むしろ大歓迎だよ
··············
···まぁ、俺も男だしね
色々と思う所はあるけど
レンを迷惑なんて思った事は1度もないから
っ！！
当たり前だろ？
··············
と、取り敢えず···
···お布団を持ってきます
···うん
(·······てか、)
(···キョウさんにバレたら殺されるかもしれない)
－AM 2時30分－
《瑞禪寺－客間》
ｳﾄｳﾄ····
ハッ！！
····っく、寝てしまいそうです
(アスマさんを守らないといけないのに···！)
レン····
は、はい···？
寝よ？
どうぞ！寝てください！
············
(珍しく意地になってるぞ···、困ったな)
(ね、眠い～·····)
－AM 3時15分－
《瑞禪寺－客間》
ｽｰ····ｽｰ····
(···ようやく寝たな)
さて··、俺も寝よう
モソモソ····
ぐー·····
············
················
ギシッ
ｷﾞｼｷﾞｼ－···
ｶﾞﾗ－···
う···ん···
(今度は何だ····？)
(何かが襖を開けた音がしたぞ····)
ズシッッッ
(うおっっ？！)
(おっ、重っ····！！)
(足の上に···！！)
ま、まさか··金縛りか？！
く···ふぁ～～～ゎふ···
って、黒鉄かよっ！！
ぬ
てか、どうやって襖を開けたんだよっ
普通に手でこうやって
···便利な肉球だな
うぅ···
っは！！！
わ、私とした事がっ！
寝てしまっていました！！
レン、もう良いから普通に寝なさいよ
あっ、黒鉄さんお帰りなさい！
うぬ
では、黒鉄さんも帰られた事ですし皆で寝ましょうか···
うん···
(やっと普通に寝れる)
···てか、黒鉄はやっぱ俺の布団の上で寝るのか··
お前の布団の方が、高さが丁度良い
(すげー重いんだよなぁ···)
···悪かったな重くて
俺の心を読むな
ぐー··
···はやっ
あ、なんなら俺の布団の中に入れば？
(重くないし、暖かいし)
···············
だが断る
お前の布団に入るくらいならレンの布団に入る
ダメに決まってんだろ！
···ふん、一歩も先に進めん青二才が
ｶﾞｰｰｰｰｰｰﾝ
(気にしている事を····)
もう····寝る···
ｽﾞﾙ·····ｯ
ｽﾞﾙｽﾞﾙ－··
ｽﾞﾙ···
うぅ····ぅ
ｱｽ···ﾏ···
渡すﾓﾉ····か···
櫻····井····
殺····す··
