羅刹(らせつ)

文字数 1,988文字

  









         -PM 9時25分-


       《桜木町-青葉通り》



『···ようやく』
『私を握ったなアスマ···っ!』
えっ?!!
(つ、剣が喋ったのか?!)
アスマ··、契約違反をした契約者がどうなるか知ってるかぁ?
·····っ!

ど、どうなるんだよ···

俺に殺されて喰われる
ただそれだけだがなぁ~?
っ!!!!
··お、俺の父さんを殺したのか?!
···········
あんな男は殺されて当然だと、心の中ではそう思ってんじゃあねえのかぁアスマ~?
そっ、そんな事は····っ!!
お前とお前の妹を餌にしたんだぜ?
呪いをかけたのはお前だろっ!!!?
そもそもの元凶はお前だっ!!
·····
··父さんが例え、俺達に何の感情も無かったとしても
母さんの事だけは大切に思っていたのなら···俺は··
それだけで構わない··
く···っ
っ!?
くくくっっ!!!
これだから人とは不可解なのだっ!!
っ!!!!
お前の母親はなぁ~、お前の妹が生まれて直ぐに死ぬはずだったんだ
っ!!!

(母さんは昔から体が弱くて入退院を繰り返してた··)

それをあの男が、どうしても死なせたくないと言ってきたんだぜ~?
その為に、この俺に契約交渉を持ち掛けてきやがった
そして、その犠牲がお前らって訳だ
·········
『···アスマ』
···えっ
『私を離すなよ?』
っ!!!!!






   シャキ―――――ィィンッッッ!!






うわっ!!!








『破魔の剣』は勝手に鞘から抜け


俺は慌てて、両手で柄を握り締めた






そして、そのまま


叔父さんの目の前に突き立てていた··






っ!!!!!
··何の真似だよアスマ?
まさか··、俺とやり合って勝てるとでも思ってんじゃあねぇだろうな~?
ハァ··ッ ハァッ
···お前が俺の呪いで喰われるのを待っていたが···
契約者は既に殺しちまったしなぁ··
小娘も邪魔してきやがる
·······
だからさぁ··、お前はもう俺が喰っちまう事にするわ~
っ!!!!
··ガタガタッ
何だよアスマ··、震えてんのかぁ?
そんなに脅えんなよ··
痛いのなんて一瞬だからさぁ~?
ちょっ、ちょっと待てよっ!
···あ?
まさか···
命乞いなんて情けねぇ真似··するつもりじゃねえだろうなぁ?
ち、違うよ··
父さんの··
父さんの契約違反って何だったのか、知りたくて··
······
ふん、··冥土の土産に教えてやらん事もねえ
あの男は··女を助けたいが為に俺と交渉をしておいて―――
その後に娘が殺されたらなぁ··
··結局、今度はある呪術師に助けを求めやがったんだ
·····?!

な、何でだよ···?

···だって父さんは、助けを求める必要なんて無い筈だろっ!!
(··だって、次に殺されるのは俺だけなんだから··)
さあな

俺は人の気持ちなんざ全く知りえねえ

だがなぁ、そのお陰で俺の呪いは成就しなかっただろ?
っ!!
こうして、喰い頃のお前が何故か今こうして生きていやがる··
そ、その呪術師って····
知るかよっ!!!
ビクッ
··なぁアスマ~··
俺の呪いは絶対だ··
さっさと死ねよ
っっっ!!!!?










    ぐぁぱあああああああっっっ








う····っ!!!!






··叔父さんの顔は裂け始め


口が捲(めく)れ上がった






そのガッパリと捲れた口の中には


鋭利な牙が恐ろしい程に生え揃っている








喰われる···








俺は···、瞬間的に死を覚悟した






······
『アスマ···』
···ハッ
『男なら生きる為の覚悟を決めろ!!!』





         ビュッッ

















          グイッ

うわっっ!!!
!!!!!!







   ズバァ――――――ッッッ!!!!








っ?!!!!








ぎぃやああああぁぁっっっ!!!!

ぐががかがっっ!!!



お、俺の口がぁぁっっ!!!








はっ、破魔の剣!!!





『破魔の剣』は自らの意思で


牙だらけの巨大な口を切り裂いた




俺はとにかく握っているだけで


いっぱいいっぱいだ





ア···アスマぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!
(凄まじい切れ味だぞ···っ!!)
『··私は百鬼を斬るためにある』
『そして、お前を守るためにある』
!!!
『お前は沢山の者達から守られている···』
『その事を忘れるな!』
た、沢山の···?
どう言う事だよ···
許さねえぞ···っ!!!
バラバラに引きちぎって雑魚共の餌にしてやるぜぇぇええぇぇっ!!!!
···来るっ!!
「金剛地結界契印」っ!!!




     キィ――――――··ッッン




!!!!!!!
っっく!!!

こっ、小娘があああぁぁっ!!!

レンっ!?
ハァッ··ハァッ、アスマさんの回りに結界を張りました···!
二度と···近づく事など出来ませんよ?!
(··良かった、戻って来ないから何かあったのかと思った)
··またしても、遅くなってしまってご免なさい·· ハァハァ··
······
·····レン?



        ヒュッッッ



っ?!







         スタッ











         テクテクテク



ふん···

やはり貴様か···

羅刹····
黒鉄っ!!!!!
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登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。··最近彼女にフラれた。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

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