忍び寄るモノ
文字数 1,983文字
3月28日(木)
-AM 7時40分-
《二ツ神駅》
♪~♪♪♪~♪
間もなく3番線に赤河行き急行が
参ります···
危険ですので白線の内側まで
お下がりください···
カタンカタンッッ-·· カタンガタンッッ
ドンッッッ!!!!
その瞬間···
俺の目には
全てがスローに写っていた···
レンが無防備に急行列車の前に
飛び出したんだ···
いや···、明らかに
誰かに背を押されたようだった
パアァァァーーーーーーーーーッッッ
ガタンガタンガタンガタンガタンガタン
キイィーーーーーーーッッッ
俺はその場に崩れ落ち
ガタガタと震える体を止める事が
出来ないまま
呆然としていた···
周りは何かザワザワしている
だが俺の耳には何も聴こえては
来ない···
今の俺にとってレンの存在は
生きる理由にさえなっていた··
それなのに····
こんな···目の前で···
駅のホームは
混乱に満ちていた···
···俺には
轢かれたレンを確認する
勇気がなくて··
暫くの間、その場に座り込んでいた
-AM 8時20分-
《黒猫マート》
テクテクテクテク-···
その時はもう··
考えている暇もなく
俺の体は勝手にレンを抱き締めていた··
レンは···
俺とは正反対なのかもしれない
前向きで諦める事はない···
··きっとレンが光で俺が影だ
だからこそ···
俺にはレンが必要なんだと
改めて感じた