忍び寄るモノ

文字数 1,983文字



















                               3月28日(木)


                          -AM 7時40分-


        《二ツ神駅》



··········

(眠い···)

(今日は少し遅くなってしまいましたが··、まあ遅刻する程ではないですね)









♪~♪♪♪~♪




間もなく3番線に赤河行き急行が


参ります···


危険ですので白線の内側まで


お下がりください···



あれ····?
(レンがいる···?この時間にいるのは珍しいな···)





   カタンカタンッッ-·· カタンガタンッッ




レンっ!
あっ、アスマさ······



































         ドンッッッ!!!!






















っ!!!!!!!!??
····え?










その瞬間···





俺の目には


全てがスローに写っていた···






レンが無防備に急行列車の前に


飛び出したんだ···



いや···、明らかに


誰かに背を押されたようだった





レンっっっっ!!!!?




















  パアァァァーーーーーーーーーッッッ


















  ガタンガタンガタンガタンガタンガタン



   キイィーーーーーーーッッッ













きゃああぁぁぁぁっっ!!!!!
おっ、女の子が轢かれたぞおっっっ!!!
や、ヤバくない今の?!!
そ、そんな····
·····嘘···だろ··








俺はその場に崩れ落ち


ガタガタと震える体を止める事が


出来ないまま


呆然としていた···




あ、あれ····?
え···? ··おかしくない···? 確かにさっき、女の子が轢かれて···



     ザワザワ ザワザワ



レン····、レン····





周りは何かザワザワしている


だが俺の耳には何も聴こえては


来ない···








今の俺にとってレンの存在は


生きる理由にさえなっていた··









それなのに····




こんな···目の前で···







お、俺からレンを···奪わないでくれよ··








駅のホームは


混乱に満ちていた···







···俺には


轢かれたレンを確認する


勇気がなくて··


暫くの間、その場に座り込んでいた





··············
ん?
アスマ君···?
(···何だか駅もザワついてるなぁ、何かあったのかな?)
カタカタ···
ちょっ···、アスマ君?!

どうしたの?!

え···
大丈夫?!

どこか具合でも悪い?!

···陵さん?
っ?!
と、取り敢えずっ

うちにおいで!

··········



















                          -AM 8時20分-


         《黒猫マート》



···レン
はい···、温かい珈琲どうぞ
あ、有り難うございます···
···アスマ君、一体何があったんだい?
····レンを、置いてきてしまった··
あんな···、線路の上に···
線路?!!
···レンに散々命を救ってもらっておきながら··、俺はまた見殺しに···
最初は妹を···、そして今度はレンを··
ちょっと待ってくれっ

レンちゃんが何だって?!








        テクテクテクテク-···







佐助····
黒鉄っ!!!
アっ、アスマ君が·····っ!
·····うぬ
く、黒鉄····俺は···
····落ち着けアスマ
お、俺は···
レンなら大丈夫だ
·····え?
アっ、アスマさんっ!!!
···············
·····レ、レン··?
何で····
ご免なさい···心配かけ····
レンっ!!!!
っ!!!!!






その時はもう··


考えている暇もなく


俺の体は勝手にレンを抱き締めていた··




···アスマさ··
··············
ご免なさい···
レンが謝ることじゃないよ···
俺こそゴメン····

助けることも出来なくて···

そんなことありませんよ···
···一体何がどうなって···?!
アスマ、わしはいつもお主らの近くにおるのだ···それを忘れるな
黒鉄····、有り難う··本当に

レンを助けてくれて···

あの時突然誰かに背中を思いっきり押されました····
黒鉄さんが、瞬間的に私を咥えて飛んでくださらなかったら本当に死んでいた··
ええっ?!
な、何でレンちゃんが狙われたの?!
あの瞬間、明らかな殺気を感じた··
誰かに恨まれる覚えはないのか?
·········
わ、分かりません···
暫くは警戒しておかねばなるまいぞ
はい···
··ところで、··こんな時に何だけど
二人とも学校はどうするの?
···あっ、大変っ!

連絡もしてないのにっ

レン···、こんな状況で学校に行くつもりなのか?
ええ···、黒鉄さんのおかげで無傷でしたので···
それに···、私を突き飛ばした犯人は必ずまた私の前に現れると···思いますので
そ、それなら尚更危ないだろっ!
心配かけてご免なさい···、有り難うアスマさん
っ!!
でも私は逃げません

相手が人でも百鬼でも

···········
さあ、アスマさんも一緒に学校へ行きましょう!
うん···





レンは···


俺とは正反対なのかもしれない








前向きで諦める事はない···









··きっとレンが光で俺が影だ







だからこそ···


俺にはレンが必要なんだと


改めて感じた





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登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。··最近彼女にフラれた。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

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