第三十六話 航海の女神
文字数 1,881文字
２月２日(土)
－PM 7時15分－
《二つ神駅》
レン···
は、はい
もう帰るの？
へっ？！
いつもなら、もう少し一緒にいるのにな～って思ってね
(ま、まさかそんな事を言われるなんて····っ！)
(嬉しい····)
(しかし、今日こそはアイツを何とかしなくては····、この先邪魔されたら敵いませんから)
·········
レン···、何か
俺に隠してない？
かっ！！
隠してませんっ！！
(嘘をつくのが下手だな～··)
····そっか、ならいいや
···ﾁｸ
それじゃあ、帰ろうか
は、はい···
(···俺が、ハッキリさせないのが悪いのかもしれないし···)
(だが、告白ってのは···どのタイミングでするもんだっけ··？)
(つーか、俺なんかが調子こいて告白とか許されるのか···？！)
(アスマさんが、黙ってしまいました···)
ﾊｧ～···
っ！！
あっ、あの！
ごめんなさいっ
えっ？！
アスマさんと一緒に居たいのは山々なんです！
でもっ、今日こそは決着を着けなくてはいけません！！
ええっ？！
なっ、何を····
それではっ！！
失礼しますっ！！
えっ？！
ちょ········っ
ドドドドド···
一体なんなんだ···
－PM 7時45分－
《レン自宅周辺》
·······
ｼﾞｰｰｰｰｰｰｰｰｰ····
···貴方は、誰なのです？
何故、私に着いてくるのでしょうか···
············
私に何か言いたい事があるのですか？
お····俺は···
·······
····取り敢えず、私のお部屋へお入り下さい
っ！！！
ガチャ－··· パタン··
どうぞ、好きな所へお座り下さいね
······
さて、それでは·····
貴方のお姿を、ちゃんと拝見させて下さい
··········
···初めまして、私の名前は櫻井蓮と申します
貴方のお名前は？
··初めまして··だと？
えっ？！
お前は俺と···愛を誓い合ったのを忘れたのか？！
(···はっ？)
ずっと探してたんだ····
ようやく見付けたと思ったのに
···なのに、お前は俺が死んだ後··すぐに違う男と····
ちょっ、ちょっと待って下さい！
まさか貴方の生前の頃の彼女と間違えているのですか！？
間違える····？
そんな訳ないだろ
俺はお前を見間違えたりしない
今でもこんなに愛しているのに····
(···めっちゃ間違えてるし、面倒くさい)
それなのにお前は、俺が死人だからと少しも中に入れてはくれない
いや、死人とか関係なく風呂を覗いてる奴を招き入れる人なんて世の中１人もいない
お前は俺の女だから良いんだよ！
(そもそも、その性格に問題あり)
(然りとて···彼は予期せぬ事故に合い、その若さで突然命を奪われている)
(気の毒な魂ではあります····)
とか、言うとでも思った？
私のお風呂を覗こうとした罪は重いんですよ！
∑ えっ？！
それとこれとは話が別です
覚悟しなさいよっ！
式神よ···
我が名の元に
出でよっ！
天后(てんこう)様っ！！！
う～ん·····
···あら？
(ひゃー！相変わらず美しいー！！)
なぁに～？レンじゃないのー！
久々ねぇっ！
∑ っ！？！
お久しぶりです、天后様っ！
私を呼び出すなんて珍しいわねぇ···
そこの可愛い坊やでお困りかしら？
それが全く可愛くないんですよ。
彼が、私と生前の頃の彼女を間違えている上に
屁理屈ばかり捏ねるので、ほとほと困っております··
あらぁ～、それは御愁傷様ぁ
御悔やみ申し上げるわぁ～
そ、それで····
ふふっ、分かってるわよ～
彼を··その生前の彼女の元へ連れていった後に
輪廻転生へと導いてあげれば良いのでしょう？
は、はいっ！
その通りです！
····天后(てんこう)様
彼女は十二天将のうちの１人···、航海の女神様であります
それはあの世でも同じで、旅立つ者達の魂を輪廻転生へと導いて下さる慈悲深き貴人なのです····
その美しさからモテモテなのは当然のことではありますが、彼女は誰のモノにもならない、がモットーの独身貴族であります
う、美しい·····
···ん？
美しいお嬢さん、俺と結婚してください！
ぶほっ！
まぁ····、心変わりの早いこと～···
ﾌﾌﾌ
ちょっと、軽すぎるでしょ···
そんなんで輪廻転生出来ると思ってるのです？
黙っていろチンチクリン
チン·····ッ
うーん、まぁ一応このまま輪廻転生しに行ってみましょうか！
では、俺がエスコート致します
············
(元カノに謝れ)
じゃあレン、また呼んでね
色々お話を聞きたいから～
は、はい！
天后様、宜しくお願い致します！
あでぃおす～
·············
···何だろう、このモヤッとした感じ
