第四十七 複雑

文字数 1,935文字








      3月16日(土)

 -PM 8時50分-


《瑞禪寺-客間》


ふー····
···今日の風呂は結構しんどかった···、背中がまだヒリヒリする



俺は今レンの実家にいる


この極度な霊感体質の原因が判明しその根元(こんげん)も分かった···


ただ、「スーパームーン」と言うその日が来たときに何をすれば良いのか具体的な事は分からないままだ··


それに···、俺の心の整理にもまだまだ時間がかかりそうだった··



父さん····



トントン···



っ!!
アスマさん····
レン··、どうかした?
背中は···どうですか?

まだ痛みますか?

あ、いや····まぁ少しね··

風呂に浸けない様にはしたんだけど··

心配してくれたの?
はい···、お薬をお持ちしましたので···背中に塗らせて下さい
····じゃあ、お願いしようかな
はい···



···レンはそう言うと、俺の服を静かにたくしあげて背中に薬を塗ってくれた···



(あまりにも痛々しい傷跡になっています···)
まさか····、自分が百鬼全ての生け贄になってるなんて夢にも思わなかったなぁ
···そうですね
(今は···、何て言ったら良いのか···言葉が見つからない)
············
お父さんの···
どうしても叶えたい願いとはなんだったのでしょうね···
そして、その願いは叶ったのか···

アスマさんの呪いが本来、契約によるものであれば

············
呪いをかけた本人が解くか、その百鬼を消滅させるしか方法はないのかもしれません···
············
··········
····アスマさん、大丈夫ですよ··
っ!!!
「その日」が来れば、必ず何とかなります
うん···
それまでも、ちゃんと側にいますし

お守り致しますので···

なんか····
え?
あ、いや···

今は、頭の中がゴチャゴチャでさ··

···ご、ご免なさい
えっ?!何もレンが謝ることじゃないよ?!
私···、余計な事を言いましたね
レン···、違うんだ

レンにはいつも感謝してるよ?

は、はぃ···
何て言うか···、色んな事が明るみになった事に··頭と気持ちが追い付かないって言うか···
はい···、私も··もっと考慮して話すべきでした
いや···、ごめん···

レンの前だとどうしても弱音を吐いてしまうな

っ!!!
···そっか

成る程··

えっ? 何が···



レンが一人で納得したように言うと、おもむろに俺の頭を撫でて来た――――――



っ?!!!
大丈夫大丈夫!心配ありませんよ!

ナデナデ

····っく

(何て事だ···っ!)

··············



レンのその可愛い行動に耐えられなかった俺は―――――



えっ?!



レンの腕を優しく掴んだ····(つもり)



っ!!
·········
ちょっとだけ、手を握らせて?
っ!!!
は、はい···
もし、嫌だったら無理しないで離していいから··
いっ、嫌な訳ありませんよ?!
っ!!!
(本当は、このまま引っ張ってやりたい···がっ)
(我慢しよう···)
(···アスマさんの手は大きいなぁ)
(このままずっと離さないでおこうかな···)



トントン



ギクッ


パッ




俺は反射的にレンの手を離した




は、はいっ



ガラ-···



レン、アスマ君にお薬塗ってあげたの?
は、はい!

塗りました!

じゃあ、疲れただろうし今日は早めに寝かせてあげなさいよ?
はい···
·····ところでアンタ達
へ?
お付き合いはしているのかしら?
えっ?!
えっ?!
あ、別にお説教的な事じゃなくてね?
どっちなのかな~って思って!
えっと····
··············
私達は、そう言う仲ではありません··
あら···、そうなの?
お母さんたら、勝手に勘違いしてたわ~!だって、
どうみても、二人とも相思相愛なんだもの!
えぇっ?!!
っ!!!!!
まあ、お互いに色々悩みがあるんでしょうけど、こう言う事って要はタイミングだから!
ね!
ねっ、て言われましても····
あっ!何なら、同じお部屋に泊まってみたら?
ぶはっ
ちょっ、ちょっとお母さん

気は確かです?!

半分冗談よっ

それじゃあ、二人ともユックリ休みなさいね

·········
お、面白いお母さんだね···
本当にスミマセン···
い、いや····
それでは私は隣の部屋におりますので、何かあったら直ぐに呼んで下さいね
うん、有り難う







-PM 10時35分-


《瑞禪寺-客間》


(さすがに眠くなってきたな····)
読みかけの小説の続きも気になるけど···、今日は寝るか~



カチッ









 -AM 1時30分-


《瑞禪寺-客間》


スー··· スー···




ズズズズズズ-····






うぅ····ぁぁ····


ぅ·····ぅ··





ア···スマ·····






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登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。··最近彼女にフラれた。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

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