第二十三話 天才クソ野郎からの電話

文字数 3,754文字





-PM 11時05分-


      《黒崎邸》


な···、なんてこと·····
陵さんは····、自分が殺された時の事を覚えているんですか?
うーん····、まぁ···覚えてるけど···
·················
殺される時の恐怖よりも、黒鉄を一人ぼっちにさせてしまう事の方が、
心残りで仕方なかったよ····
本当に···、黒鉄さんを大切に思っていたのですね····
(レンが泣きそうだな····)
そりゃあ···もう、目に入れても痛くないよ?!今でもね!
···················ニャ··
っ!!!!!!!
(い、今····黒鉄が····、猫?!みたいな声出したぞ····っ!!)
(はあーーーっ!!可愛いニャンコの声が聞こえましたぁー!!!)
でも····、心残りがあったのは俺だけじゃ無かったみたいでね···
·······え
黒鉄だって、あのまま死んでも死にきれなかったんだよ····
·····俺が先に死んでしまって、黒鉄は後悔をした
後悔·····ですか?
·····何故···、わしには佐助を守るための力が無いのだろうか···
···何故、佐助は殺されなければならなかったのか···
佐助の最後を看取ることも出来なかった事を····、後悔したのだ
も、もう無理です~·····っ
泣くなよレン~っ!
·····泣かせてごめんねレンちゃん··
·····黒鉄のその心残りが、死後に黒鉄を猫又へと変えさせたんだ···
·················
····それからと言うもの、わしは佐助が生まれ変わる度に側にいた
なんと·····っ!
····もう2度とあのような思いをさせる訳にはいかんからな···
じゃあ、陵さんはその後···常に老衰だったと言うことですか?
·····その辺は良く覚えてないけど、黒鉄が常に側に居たなら恐らくそうなんだろうね~
もしかして、その長い経緯が黒鉄さんを超級百鬼に変えたのですね·····っ?!
そうなの?

黒鉄って凄いんだね!

·······ふん
·····と、まぁ···そう言う関係でね
·······俺にとって、黒鉄は唯一無二の存在であり、黒鉄もまたそうなんだ
······良く、分かりました
なんか·····羨ましいです
····え?
俺は·····、誰かに対して···そこまで想える自信がありません···
··················
基本的に俺はいつも独りなので····
はっ、悠人さんがいるではありませんか!
······そうだね
····アスマ君の事情は俺には分からないけどさ···
少なくとも、今は独りじゃないんじゃない?
っ!!!
··············
····そんな寂しい事言ったら、レンちゃんに失礼だろ?
········そ、そうですよね···
私は····、全然大丈夫です
·····レン、ごめん···
私は、大丈夫なんです!

問題ありませんよ!

チクッ



俺は···最低だ


レンがどんな思いで俺の側にいるのか考えもしないであんな事を簡単に···


いつも俺のために側に居てくれてるレンは黒鉄と同じだ

でも俺は全く、陵さんの様にはなれていない··



レンの··

「私は、大丈夫なんです」の言葉は····俺の胸を抉(えぐ)った




·····俺的にも君達の関係が気になるとこだけど、今日はもう遅いから2人とも帰らないとね!
····あ、もうこんな時間だったのですね!
じゃあ、そろそろ帰ろうかレン···
はい












-PM 11時45分-


《アスマ自宅前》


それでは·····、今日は色々と有り難うございました···
いや····、なんかゴメンな
えっ?!何がですか?!

謝られる事なんて何もありません!

············
·····アスマさんはご自身が思っているよりも、とても優しい方なんですよ?
えっ?!
··············
アスマさんはダメですね~!

アスマさんの事を何も分かっていません!

っ!!!!
······それでは、
帰りますね!
····あっ···、レンっ
はい····、
有り難う····、また俺と···
一緒に出掛けてくれる?
っ!!!
も····、勿論です···
(·····良かった)
それでは····また











-AM 12時10分-


     《レン自宅》


ふー····、今日は本当に色々な事がありましたね···
(········アスマさんの心には、昔からのトラウマが深く刻まれているようです)
(まぁ·····、私とて同じようなものですが·····)
(だからこそ、気持ちが痛いほど分かります···)

 ~♪♪~♪♪~♪

♪♪♪♪~♪~

っ!!!!

で、電話?!

····こんな時間に非常識ですね···



ピッ



·······もしもし
おいこらっレン!
うわぁっ!!!

な、な、な、なんなんですか?!

こんな時間まで何を遊び歩いてんだよ!
はあっ?!

(何で知ってるのよー?!)

どっから見てるんですか?!

このド変態っ!!

おま······っ!!

実の兄に対して何だよその態度は!

お兄ちゃんこそ、こんな時間に電話かけてくるとかアホなんですか?!
お前がさっさと帰らねえからだろーが!
だからっ!覗き見するのやめてマジでキモイからっ!
ガーーーーーン····
大体なんの用ですか?!
······九尾から聞いたぞ····、何で連休に帰って来ないんだよ!
それはヨーコちゃんにも言いましたが、私バイト始めたんです!!
連休はバイトも学校の課題もありますので、帰ることは不可能です!
ほお~····?本当にそれだけか?
ギクッ
お前·····、男が出来たんだろう····?!
おっ、お、男?!

なんて下品な言い方を!!!

同じ兄弟とは思えません!!

大体、覗いているなら何でも見えてるんでしょ?!

·····はっ、俺をみくびるなよ?!

そこまで覗いちゃいねえよ!

自慢気に言うことかっ!!
私の側にヨーコちゃん以外の使い魔を忍ばせているのですか?!
そんな事にも気付かない程度の力だから、お前はまだまだなんだよ
もーーーっ!!ほんっとムカつく!
····おい、レン、

そんな事言って後悔するなよ····?

っ!!!!!
お前からの相談···、受けてやっても良いかな~って思ってたのになぁ~···
ほっ、本当に?!
そりゃ~····、お前の態度次第だけどなぁ~
うぐっ·····
けどな····それをするには先ず、そいつをこっちに連れて来なきゃ話になんねえぞ
······今すぐって訳には··
つーか···、そのレンの友達ってのが女か?男か?ってのが一番の問題だ
それは、別にどちらでも良いでしょう···?
良い訳ねーだろ!
何でっ?!
勿論、俺のポテンシャルの問題だ!
知るかっ!!!
ほお···?じゃ、この話は無かったと言うことで。
ちょっ、ちょっと待って下さいよー!!
····まだ何か?
(ちっ)

男性ですよっ!申し訳ないですけど!

······················

(ちっ、て聞こえた··)

っっはあ~~~~~······
あからさまに嫌そうにしないで下さいよ····
·····やっぱりな····

お前さ、何でそんな特異体質と付き合ってんの?

えっ?!!!
物好きにも程があるだろ···
つ、付き合ってなどいませんよっ!!
付き合ってないなら尚更だ

お前の人生そいつに捧げる気か?

恋人でもない奴に···
そ、それは·····
·········だからこそ、お兄ちゃんに相談をしたんですよ
··············
彼の体質には何かしらの原因があるはずなんです····
それを、俺に暴けと言うことか?
ええ····、これはもはや私の力では暴くことなど出来ませんので····
······ったく、仕方ねえなぁ····
っ!!!!
受けて下さるのですか?!
ああ···
あっ、有り難うござ·····っ
ただし!
·····え?!
「私の敬愛するお兄様、どうか私のお願いをお聞きくださいませ」
って言うのが条件だ!
もはや····意味が分からない·····
······どーすんだよ?言うのか言わねえのかあ?!
っく!!!
(これだから、お兄ちゃんに相談するの嫌なのです····)
わ、分かりました·····
ニヤニヤ
すうー···
わっ、私の敬愛するお兄様っ!!!

どうか私のお願いをお聞きくださいませー!!

ゼエゼエ·····
はっはっは!

苦しゅうない!俺に任せとけ可愛い妹よ!

(うっざぁーーーーっ!!!)
あ、それとな
·····なんすか
近いうちに、こっちに来れないならスーパームーンが先に来るかもしんねえからな、
っ!!!!
すぐにでも、上級以上の使い魔をそいつに憑けておく必要がある
そうしねえと、そいつは直ぐにでも喰われるぞ
(スーパームーン····、それは百鬼の力が増し、上級以上の百鬼が続々と現れる最悪の1日·····)
(私だけではアスマさんを守ることは出来ない·····)
····まあ、お前の力だと上級以上の百鬼を使い魔にするのは難しいかもしれねえから、
その時は契約を持ちかけろ
っ!!!!
人と、百鬼との契約は等価交換になるからな···、それなりの犠牲は覚悟をしなければならねえがな···
それすら嫌なら、さっさとこっちに連れて来るこった
わ、分かりました····
て、事で以上だ

ガキはさっさと寝ろよー、またな




           ピッ




な、何かすっごい腹立つな~····
····················
契約····か···
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登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。··最近彼女にフラれた。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

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