氷屋

文字数 396文字

 『黒船屋』は面が割れている可能性がある。敵情視察がてらに『氷屋』に向かった。ここは『ハンチーカ』のお店である。

 「イラッシャイイ。」
 「監獄ハンチーカ一つ。」
 「Kハンチーカ、ヒトツ。」
 店員が厨房に向かって叫ぶ。

 普通のハンバーガのようだった。
 「このパティは牛かい豚かい?」
 「コオロギ。地獄向けに飼育したエンマコオロギ。Kハンチーカは虫パティが特徴なのさ。」

 早速、戻って対抗策を立てる。
 「われわれもハンチーカを売ろう。」
 「しかし、虫はちょっとね。」
 「肉食は仏様が許さないだろうし。」
 「大豆とかの植物なら。」
 「鬼に豆はダメ。」
 「すりつぶして豆腐にしたら?」
 こうして白いパティの『木綿のハンチーカ』が完成した。

 売り出しは上場、おまけに『都市の砂魂』をつけた。キャッチコピーも決まった。

 「都会の色に染まらないで買ってって。」
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登場人物紹介

主人公

地獄で入獄拒否され残りの人生を霊として過ごす

主人公を保護観察する死神

雪女。

居酒屋雪ん子の女将。

死神の知り合い。

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