来る魔社会
文字数 878文字
地獄は広い。いくら時間も人手があるからといっても、移動は大変だ。馬車も牛車も閻魔など限られたエリートしか使うことができない。
「地獄の冷酒、極寒と天国のボッタルドゥ・ワインを大量に運ぶのにいい乗り物はないかしら。」
死神のやつが、いきつけの居酒屋雪ん子の女将である雪女にお願いされたらしい。
車を作るには、エンジンかモータが必要だ。牛頭や馬頭は獄卒のエリートだから真面目に働くが、ほとんどの獄卒や若い鬼すぐにさぼる。さてさて、どうしたものか。とりあえず、鬼一匹の力量を調べる。荷台に酒樽5個ぐらいなら運べる。
「樽20個以上は運びたいわ~。お願い。」
死神のやつ、色仕掛けに負けてころっと安受けやしてきたらいい。
そうなると4体の鬼が必要になる。
4鬼頭エンジン!。しかし、そううまくはいかない。
「疲れました。休みましょう。」
貧血ぎみな青鬼はすぐに休みたがる。
「遅い!」
せっかちな赤鬼は先を急ぎたがる。
「ゆっくりいきましょうよ。そのうち着きますって。」
のんきな黄鬼に、
「ぶつぶつぶつ。」
いつもぶつぶついって考えのわからない白鬼。
鬼にもバランスが大事だ。しかし、こいつらには協調性というものがない、はてさて困っていると、
「ワン!」
と、茂みのほうから声がした。
「犬だ!」
青鬼が叫ぶ。
「引け!ひき殺してしまえ!」
一斉に犬を追いかけ始めた。
「キャッ、キャッ!」
木の上から声がする。
「サルも嫌がる。降りてこい!こんどは負けねえぞ!」
鬼の連中、犬やサルに恨みでもあるのか?
俺は、鬼たちがベルトの上を歩くように改造した。そして、その上にピンクのマークを転々と描いた。
「桃太郎!」
鬼たちは、掛け声と共に、ベルトの桃マークを踏みつける。息もばっちり!見事、20樽を乗せた荷車は延々と進み続けた。
かくして、エリート獄卒の間に、鬼頭エンジンを載せた車が広まった。運転は死神が行う。
「ヘイ!託死~(タクシー)。」
やがてこんな掛け声が地獄でも聞こえてくるだろう。来る魔社会の幕開けである。
「地獄の冷酒、極寒と天国のボッタルドゥ・ワインを大量に運ぶのにいい乗り物はないかしら。」
死神のやつが、いきつけの居酒屋雪ん子の女将である雪女にお願いされたらしい。
車を作るには、エンジンかモータが必要だ。牛頭や馬頭は獄卒のエリートだから真面目に働くが、ほとんどの獄卒や若い鬼すぐにさぼる。さてさて、どうしたものか。とりあえず、鬼一匹の力量を調べる。荷台に酒樽5個ぐらいなら運べる。
「樽20個以上は運びたいわ~。お願い。」
死神のやつ、色仕掛けに負けてころっと安受けやしてきたらいい。
そうなると4体の鬼が必要になる。
4鬼頭エンジン!。しかし、そううまくはいかない。
「疲れました。休みましょう。」
貧血ぎみな青鬼はすぐに休みたがる。
「遅い!」
せっかちな赤鬼は先を急ぎたがる。
「ゆっくりいきましょうよ。そのうち着きますって。」
のんきな黄鬼に、
「ぶつぶつぶつ。」
いつもぶつぶついって考えのわからない白鬼。
鬼にもバランスが大事だ。しかし、こいつらには協調性というものがない、はてさて困っていると、
「ワン!」
と、茂みのほうから声がした。
「犬だ!」
青鬼が叫ぶ。
「引け!ひき殺してしまえ!」
一斉に犬を追いかけ始めた。
「キャッ、キャッ!」
木の上から声がする。
「サルも嫌がる。降りてこい!こんどは負けねえぞ!」
鬼の連中、犬やサルに恨みでもあるのか?
俺は、鬼たちがベルトの上を歩くように改造した。そして、その上にピンクのマークを転々と描いた。
「桃太郎!」
鬼たちは、掛け声と共に、ベルトの桃マークを踏みつける。息もばっちり!見事、20樽を乗せた荷車は延々と進み続けた。
かくして、エリート獄卒の間に、鬼頭エンジンを載せた車が広まった。運転は死神が行う。
「ヘイ!託死~(タクシー)。」
やがてこんな掛け声が地獄でも聞こえてくるだろう。来る魔社会の幕開けである。