ゴールドラッシュ

エピソード文字数 923文字

 「キンが出た。」
 「新手のウィルスかい?」
 「いや、砂金だよ。」
 三途の川は大騒ぎ。あの世では金やダイヤは価値があるわけじゃなかった。それどころか、邪気は鏡など光物を嫌う。どうやら、極楽から流れ出てきたものらしい。
 「困ったぞ。霊たちが怖がって三途の川を渡りたがらない。」
 「このままでは、客船の運航もままならない。」
 閻魔庁では上へ下への大騒ぎ。

 「というわけで、なんとかならんかね。」
 閻魔の使いがやってきた。
 「あの世では金なんて使い道がないよ。」
 「そこをさあ。」
 泣きつかれても、アイデアがでないものはしょうがない。そこへ、死神がやってきた。
 「いやあ、でっかい砂金の塊みつけましたよ。」
 そういって、取ってきたばかりの金のつぶを見せびらかす。
 「よせよ。日本の霊は光るものは苦手なんだ。霊柩車を思い出すじゃねえか。」
 思わずのけぞった。
 「え?そうなの。こいつを買い取ってるやつらがいるけど。」

 死神の話では、取った砂金を安く買い集めている霊がいるという。
 「そいつらは、生前は政治家だったらしい。仕事そっちのけでカネ集めをしていたっていうじゃないか。」

 ピンとひらめいた。
 「砂金発掘ツアーはこちらですよ。」
 取った砂金の量に応じて罪を軽減できるとあって、金好きの連中が集まった。街金や闇金の連中に、極道あがりもいる。しかし、圧倒的に多いのがジニン党の議員。カネを集めるスキルにおいては右にでるものがいない連中だ。ほとんどが秘書任せのやつらも、こういうときだけは他人は信用できぬとばかりに直接手を出してくる。
 閻魔庁主催のツアーだけに、こちらの儲けは参加費ではなく道具の貸し出し料だ。スコップに大皿。技術指導は小豆洗いが請け負ってくれた。謝礼は少々値がはるが北海道産の小豆。例のごとく、雪女はちゃっかり店を出している。
 役人が罪の重さを量る天秤を使って金の重さを量っていく。取った金は極楽に送り返す。

 数日で、川の砂金はほとんどなくなった。闇金や極道の連中は初日で来なくなったが、議員たちは最後までもくもくと集め続けた。根は真面目なんだな。どこで、人生を間違えたんだろう。
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登場人物紹介

主人公

地獄で入獄拒否され残りの人生を霊として過ごす

主人公を保護観察する死神

雪女。

居酒屋雪ん子の女将。

死神の知り合い。

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