ピローランド

エピソード文字数 753文字

 無眠谷に一台の黒い便通(べんつう)が止まった。中からは閻魔が降りてきた。
 「ここか、今度テーマパークにしようというのは。」
 役人たちと視察に来たようだ。

 「BMWからの申し出がありまして。」
 BMWというのはBoo・Moo・Woo社という結婚式場を経営している会社だ。あの世でも独り身はつらいので結婚はある。魂姻という。社名は牛も驚いて求愛するというということらしい。三匹の子牛のマークが有名である。
 「どんなものになるのかね。」
 閻魔が一緒に来た役人に尋ねる。
 「はい、憩いの場所ということで、枕を配って休んでもらいます。従業員は、まくら返し。名称はピローランド。マスコットにはキルト生地の四角いまくら顔をした、ピローキルティ。『はよう、来てぃ。』が合言葉。ほかにも、ハヨネロやシンダモンなどのヒロウたちがごろごろしてます。」
 役人は資料をみながら説明をしている。
 「で、採算の目途は?」
 「はい、鬼たちの反応はいいようです。バクガイできそうだということで。ただ、ヨタカの森が近いので渋りぎみですが。」

 「次はどこかね。」
 「はい、三途の川で『絞れー』がクルーザーのパーツ販売を始めたいということでそちらに参ります。」
 「この、水陸両用のキットクルーってやつか。」
 閻魔は、差し出されたパンプレットを見ながら尋ねた。
 「水の中から出てくるところは感動ものですよ。」

 「せっかく、遠くに来たんだ。何か名物はないのか?」
 閻魔の問いに、便通の運転手が一冊の冊子を取り出した。
 「えー、この阿修羅様監修のアシュランガイドによりますと、かまくらの中でコタツを囲んで、女性たちが相手をしてくれるキャバクラなるものがあるとか。デザートのコタツミカンは最高だそうで。」


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登場人物紹介

主人公

地獄で入獄拒否され残りの人生を霊として過ごす

主人公を保護観察する死神

雪女。

居酒屋雪ん子の女将。

死神の知り合い。

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