黒船来校

文字数 581文字

 天国がらやってきた連中は、極楽のイエズス商会を拠点に、地獄では黒船屋として商売を始めた。

 「えー、まだレディオやテレビでFOX(狐)を見てるの?これからははこれ!」
 「わー!丸い目がキュート。何これ。」
 「猫だよ。これからはCATの時代さ。」
 さあ、ずるがしこい狐なんて見てないで、これからはチャーミングな猫。CATテール尾(ビ)。おしゃれな猫の尻尾は、あなたを人気者にすること間違いなし。

 大げさな宣伝に、獄卒も亡者も立ち止まる。
 「ペロリ総督。どうしたら買えるの?」
 「マズハ、イキシニ、オデンヲクダサイ。」
 30日間お試しセットが、なんと生死にかかわらず、おでん一杯で。さらに、今なら金の煮卵もプレゼント。今すぐ、黒船屋へゴー。

 豊富な資金力に、われわれ零細企業は打つ手なしだ。通信業界は猫まっしぐら。
 「いよいよ、店じまいかなあ。」
 覚悟を決めかけた時、
 「大変大変、どうしましょう。」
 雪女が駆け込んできた。

 話を聞くと、黒船屋が居酒屋業界にも進出。和飲(ワイン)という酒を売り出したというのだ。おまけに真っ黒ハンバーカや監獄ハンチーカという食べ物を獄卒たちの出身校に売り込みに来たらしい。彼女の持ってきたちらしを見た。

 「白い鬼義理(おにぎり)なんてもう古い。これからは真っ黒バーカ!腹の中まで真っ黒さ。」
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登場人物紹介

主人公

地獄で入獄拒否され残りの人生を霊として過ごす

主人公を保護観察する死神

雪女。

居酒屋雪ん子の女将。

死神の知り合い。

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