開拓
文字数 674文字
幸い、最近の地獄の亡者の中には、生前、不動産業や土建業の連中があふれている。
「はいはい、重機はないから、つるはしとスコップを持って。」
地獄に草地はない。ただ、川岸一体には、彼岸花が咲く手つかずの草地が広がっている。ここに遊水地を造ろう。川原にいる子供たちも避難できる。
「働かざる者、苦、減らず。」
ありがたい地獄の教えだ。
「こうやってると、炭鉱にいたころを思い出すわい。」
「わしなんて、ちっこいからトロッコ押しさせられた。」
川に沿って土手を築く。遊水地の入り口はわざとカーブさせながら低くしておく。こうしておくことで、水が一杯になれば、そこから自然と越水してくれる。
「最近は3Kなんていって、こんな仕事は外国人がしてるそうだ。」
「何言ってる、いやは8Kの時代だ。」
「きけん、きつい、きたない、くさい、きもちわるい、かったるい、こわい、えーと後ひとつ。」
「かえれない。」
帰れないと代えれないをかけている。
「まだまだ増えるらしいぞ。きらい、会社に来ないなんて言ってる連中もいる。」
「そういえば、休暇扱とか、給料出無いなんて話も聞いたな。強制ボランティアとかいう職種らしい。」
「おっかねえ仕事があったもんだ。」
一見、順調そうなこの仕事、実は人集めが大変だった。
「やっぱ、汗をかくのは気持ちがええね。」
「働けるって幸せだなあ。」
そういって、次々と成仏してしまう。閻魔庁に求人を頼む。すると役人は笑って答えた。
「大丈夫。まだまだ亡者は地獄に来ますよ。政治家がいますから。」
「はいはい、重機はないから、つるはしとスコップを持って。」
地獄に草地はない。ただ、川岸一体には、彼岸花が咲く手つかずの草地が広がっている。ここに遊水地を造ろう。川原にいる子供たちも避難できる。
「働かざる者、苦、減らず。」
ありがたい地獄の教えだ。
「こうやってると、炭鉱にいたころを思い出すわい。」
「わしなんて、ちっこいからトロッコ押しさせられた。」
川に沿って土手を築く。遊水地の入り口はわざとカーブさせながら低くしておく。こうしておくことで、水が一杯になれば、そこから自然と越水してくれる。
「最近は3Kなんていって、こんな仕事は外国人がしてるそうだ。」
「何言ってる、いやは8Kの時代だ。」
「きけん、きつい、きたない、くさい、きもちわるい、かったるい、こわい、えーと後ひとつ。」
「かえれない。」
帰れないと代えれないをかけている。
「まだまだ増えるらしいぞ。きらい、会社に来ないなんて言ってる連中もいる。」
「そういえば、休暇扱とか、給料出無いなんて話も聞いたな。強制ボランティアとかいう職種らしい。」
「おっかねえ仕事があったもんだ。」
一見、順調そうなこの仕事、実は人集めが大変だった。
「やっぱ、汗をかくのは気持ちがええね。」
「働けるって幸せだなあ。」
そういって、次々と成仏してしまう。閻魔庁に求人を頼む。すると役人は笑って答えた。
「大丈夫。まだまだ亡者は地獄に来ますよ。政治家がいますから。」