バカンスⅡ
文字数 862文字
その後、三途の川にやってきたゴム男は芥川で、相方のピースを見つけたらしい。
「もう、十分だろう。」
湿地造りも終えたが、今回は久々によく働いた。
「じき冬になる。霊にも休息が必要だ。」
今年の冬は、閻魔からの褒美として、社員全員に南半球のバカンスに招待された。社員といっても死神しかいない。雪女に話すときっと行きたがるので、今回は彼にも内密にさせた。
業火客船で行く、シドニー。船内にはクラッシックな音楽が流れる。聞き覚えのある曲だ。聖者の行進。デキシーランドジャズだ。酒を飲まない俺はシネマに入り浸りながら静かに過ごす。
若いやつらは、バンジーに興じている。足にロープをかけているが、中には日本のように足の無い幽霊もいる。かれらは、首にロープをかけて宙に舞う。たまに酔った死神が鎌でロープを切ってしまうことがある。それでも、霊だから死ぬことは無い。
港からは霊専用の急行夜行列車、霊急車に乗り換える。健康に配慮し、医者も乗っている。彼も霊、死んだ医者。
「オプションのオパール堀り希望者は降りてください。」
車掌が来る。
「それ、面白い?」
と彼に尋ねると、横から死神が耳打ちした。
「社長。だめですよ。いったら最後、帰ってこれませんから。」
どうやら、強欲な連中が行く地獄らしい。
「日本にも同じような話があるでしょ。川へ銀をすくいに行く列車の話。序盤に主人公が死んじゃうやつ。銀河鉄道。」
「川なら金じゃないのか?」
「銀は銀でも水銀です。」
どうやら、こいつは死者を運ぶ列車らしい。言われたとおり終点まで行くしかないようだ。
その後も、
カンガルーとのボクシング対決
コアラの行進で糞拾い
延々と登っては落とされる、『エアーズロックで獅子の子体験』なんてのもあった。
最後は、有り金全部とられるという、『オケラハウス』。
結局、どこにも寄ることなく船で帰国した。
「報告書出してね。」
役所から言われて、やっと解った。バカンスではなく、シサツだったんだ。
「もう、十分だろう。」
湿地造りも終えたが、今回は久々によく働いた。
「じき冬になる。霊にも休息が必要だ。」
今年の冬は、閻魔からの褒美として、社員全員に南半球のバカンスに招待された。社員といっても死神しかいない。雪女に話すときっと行きたがるので、今回は彼にも内密にさせた。
業火客船で行く、シドニー。船内にはクラッシックな音楽が流れる。聞き覚えのある曲だ。聖者の行進。デキシーランドジャズだ。酒を飲まない俺はシネマに入り浸りながら静かに過ごす。
若いやつらは、バンジーに興じている。足にロープをかけているが、中には日本のように足の無い幽霊もいる。かれらは、首にロープをかけて宙に舞う。たまに酔った死神が鎌でロープを切ってしまうことがある。それでも、霊だから死ぬことは無い。
港からは霊専用の急行夜行列車、霊急車に乗り換える。健康に配慮し、医者も乗っている。彼も霊、死んだ医者。
「オプションのオパール堀り希望者は降りてください。」
車掌が来る。
「それ、面白い?」
と彼に尋ねると、横から死神が耳打ちした。
「社長。だめですよ。いったら最後、帰ってこれませんから。」
どうやら、強欲な連中が行く地獄らしい。
「日本にも同じような話があるでしょ。川へ銀をすくいに行く列車の話。序盤に主人公が死んじゃうやつ。銀河鉄道。」
「川なら金じゃないのか?」
「銀は銀でも水銀です。」
どうやら、こいつは死者を運ぶ列車らしい。言われたとおり終点まで行くしかないようだ。
その後も、
カンガルーとのボクシング対決
コアラの行進で糞拾い
延々と登っては落とされる、『エアーズロックで獅子の子体験』なんてのもあった。
最後は、有り金全部とられるという、『オケラハウス』。
結局、どこにも寄ることなく船で帰国した。
「報告書出してね。」
役所から言われて、やっと解った。バカンスではなく、シサツだったんだ。