県民性か?せっかちは

エピソード文字数 700文字

「ところで、今日はいつだ?」
 現世に戻りながら死神に聞いた。
「あなたが、事故にあったのが金曜の夜。死んだのが土曜の明け方。で、今が日曜の昼。ラッキーですよ。大きな事故や災害の後は、判決に一ヶ月待ちなんてこともありますから。そうなったらクーリングオフは効きません。」
 おいおい、誰のせいでこんなことになったと思ってるんだ。
「なんで七日なんだ?」
「今は火葬なので、体がなくなっちゃいますからね。一週間以上は無意味ですから。」

 普通、死後24時間経過しないと火葬はしない。それに葬儀の案内を出すのにも時間がかかる。このまま無事に生き返れそうだ。横浜のアパートに戻ったが、もぬけの殻だった。どうやら、俺の遺体は群馬の実家に移されたらしい。
「新幹線で行きましょう。」
 死神は、さっさと新横浜の駅の改札を抜けていく。
「切符は?」
 俺の問いに、
「霊ですから、零。ただです。」
 死神は無表情で答えた。
 実家も誰もいなかった。線香やら先祖の位牌などが並べられている。最近まで遺体があったらしい。

「赤鬼からの連絡で、体は斎場にあるそうです。」
 俺たちは、急いで村で唯一の斎場に向かった。すでに日は西野空に沈みかけている。斎場からは坊主の読経が流れてくる。部屋に入ると祭壇には小さな箱があった。
「今朝、火葬場に空きがあっからって繰上げになってな。早く済んじまった。」
 親父が小声で参列者に話しかけていた。
「あれは、群馬の生まれだから、とにかく気が短かったかんな。早く成仏できるって喜んでるだんべ。」

 土曜の朝死んだのに、当日通夜で翌日告別式って、あんたらどれだけせっかちなんだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

主人公

地獄で入獄拒否され残りの人生を霊として過ごす

主人公を保護観察する死神

雪女。

居酒屋雪ん子の女将。

死神の知り合い。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み