BIWAOKE

文字数 602文字

 営業拡大のために、血の池地獄の一角にある温泉を巡った。赤いルビー色の湯が特徴だ。風呂上りのBIWAOKEが人気だ。
 「命、くれないー?命くれない。」
 死神のやつ気持ちよくなったのか、琵琶の音にあわせて歌っている。

 ここにはBIWAOKEにちなんで、昨今の健康志向にあわせ大薬王樹と呼ばれる枇杷の実を使った『ルビーの湯枇杷』を持ってきた。

 売上は日に日に伸びていった。しかし、そんな矢先に売り上げが落ち込んだ。流行り病で観光客が来なくなった。マスク着用のためラーお面は売れたが、大声で歌うBIWAOKEや飲食は敬遠されたのだ。

 閻魔庁はGTOキャンペーンを打ち出した。GoToOni。だが、原因不明の病に盛り上がらない。やがて、コロ菜という植物の中毒だとわかった。風を受けてコロコロと転がってしまう植物のため、通常はうどのように地中で栽培する。大量の毒虫と共に育て、蠱毒(こどく)の香り、コカをつける。コカには中毒性があり、
 「蠱毒(こどく)が好きな俺さ。気にしないで逝っていいよ。」
 と歌になるほどだ。

 しかし、地中におりて毒虫の中での収穫は大変だ。そこで、筒の中で育てる業者が現れた。土管型コロ菜と呼ばれた。ここには殺生石ならルビーといわれるぐらい、火山性の有毒ガスを出す石がそこかしこに転がっている。土管は地中型と違い密閉していないため、このガスを大量に吸収していたらしい。
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登場人物紹介

主人公

地獄で入獄拒否され残りの人生を霊として過ごす

主人公を保護観察する死神

雪女。

居酒屋雪ん子の女将。

死神の知り合い。

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