スマホもねえ、ゲームもねえ、おまけに体も無くなった
文字数 670文字
「どうすんの?これ。」
俺は、自分の葬儀に参列しながら死神に尋ねた。
「寿命が尽きるまで、このままです。」
やつは、躊躇することなく答えた。すでに何度も同じようなことをしているに違いない。
30歳の俺は、どう考えてもまだ30年以上は霊のまま過ごさなくてはいけない。
「退屈だ。おい、他の連中は何をして過ごしてるんだ?」
娯楽もなく、昼間寝て、夜中活動する日々は、当初はものめずらしく楽しかったが、数日もすると飽きてしまった。いつもなら仕事が終わるとスマホのSNSで友人たちとのたわいのないやり取りや、ネットゲーで時間を潰せていた。しかし、霊になった今では、コントローラも触ることができない。
「皆様、色々なところに旅行にでかけています。なにせ、運賃ただ。乗り放題ですから。」
例の死神野郎が時々やってくる。俺は新米幽霊なのでしばらく保護観察されるらしい。あいにく、アウトドアの趣味は俺にはない。DVDも借りられない。映画館にいくと、暗闇の中でついつい脅かしたくなってくる。
「それは幽霊の性ってやつです。」
「地上の旅行がお嫌なら、有料にはなりますが地獄旅行はいかがです。気晴らしになりますよ。」
死神のやつ、妙なことを言い出した。
「銀行も凍結されていて、自由になる金なんかないぞ。」
「いえ、地獄の支払いは寿命です。お勧めは、2泊3日地獄めぐり。相場は一泊で寿命一年分というところです。各地の温泉に入れますし、オプションで亡者のいじめ体験もできます。亡者ですから、攻めるほうじゃなくと攻められるほうのM体験になります。」
俺は、自分の葬儀に参列しながら死神に尋ねた。
「寿命が尽きるまで、このままです。」
やつは、躊躇することなく答えた。すでに何度も同じようなことをしているに違いない。
30歳の俺は、どう考えてもまだ30年以上は霊のまま過ごさなくてはいけない。
「退屈だ。おい、他の連中は何をして過ごしてるんだ?」
娯楽もなく、昼間寝て、夜中活動する日々は、当初はものめずらしく楽しかったが、数日もすると飽きてしまった。いつもなら仕事が終わるとスマホのSNSで友人たちとのたわいのないやり取りや、ネットゲーで時間を潰せていた。しかし、霊になった今では、コントローラも触ることができない。
「皆様、色々なところに旅行にでかけています。なにせ、運賃ただ。乗り放題ですから。」
例の死神野郎が時々やってくる。俺は新米幽霊なのでしばらく保護観察されるらしい。あいにく、アウトドアの趣味は俺にはない。DVDも借りられない。映画館にいくと、暗闇の中でついつい脅かしたくなってくる。
「それは幽霊の性ってやつです。」
「地上の旅行がお嫌なら、有料にはなりますが地獄旅行はいかがです。気晴らしになりますよ。」
死神のやつ、妙なことを言い出した。
「銀行も凍結されていて、自由になる金なんかないぞ。」
「いえ、地獄の支払いは寿命です。お勧めは、2泊3日地獄めぐり。相場は一泊で寿命一年分というところです。各地の温泉に入れますし、オプションで亡者のいじめ体験もできます。亡者ですから、攻めるほうじゃなくと攻められるほうのM体験になります。」