交通事故

エピソード文字数 526文字

 最近、地獄もすっかり車社会になってしまった。上級獄民用の、獄卒牛頭馬頭を使った高級外車の法土(ほうど)や不浄(ふじょう)を除けば、人気は卜彐夕(ぼくけいゆう)社のフロウス。社名の由来は夕暮れに(彐)獣の頭で(卜)占いを行っていたことからついた。大きな臼でつくった風呂に入りながら移動できるエンジンに鬼と獣を使ったハイブリッド車。とにかく静か。しかし、最近こいつの事故が続く。どうやら、風呂で気持ちよくなってしまい判断能力が低下して、獣アクセルと鬼ブレーキの指示を間違うらしい。餓鬼の群れによく突っ込む。

 「あっしが悪いんですかい?」
 鬼と獣でどっちに責任があるかでよくもめている。幸い、うちの4鬼頭エンジンは喧々諤々とうるさいが、互いに抑制がかかってくれる。おかげで、燃費は悪いが自爆以外の事故なし。ただしパワーがあるので、主に酒樽を運んでいて、飲酒運転で捕まることは多い。

 やっかみがてらに鬼の頭数に応じて関税をかけようという連中が、犬ぞりを改良して、ケルベロスで三狗頭(さんくとう)エンジンを造ったが、実際は一犬力なので獣頭法違反でおっさんの魂(ごん)会長が検挙された。そのため、腐乱死体を使ったゾンビエンジンの開発も停滞してしまった。
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登場人物紹介

主人公

地獄で入獄拒否され残りの人生を霊として過ごす

主人公を保護観察する死神

雪女。

居酒屋雪ん子の女将。

死神の知り合い。

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